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第97回 待機児童問題が第二の年金記録問題となる悪夢

第97回 待機児童問題が第二の年金記録問題となる悪夢

kourou2 民主党と維新の党などが合流して発足した民進党に、厚生労働省の多くの官僚は冷めた視線を送っている。民主党時代と社会保障政策に変化はない上、相変わらず財源をどう手当てするか説明しないまま、口当たりのいい政策を打ち出しているためだ。それでも、3月27日の同党設立直後は、警戒する役人も少なからずいた。政調会長に抜てきされた、山尾志桜里氏の存在だ。

「質を低下させて子供を詰め込み、事故が起きたら国は責任を取るのか」 3月30日の衆院厚生労働委員会。政調会長として初登壇した山尾氏は、政府が前日にまとめた待機児童解消に向けた緊急対策をやり玉に挙げた。山尾氏は、子供を保育園に入れられなかった匿名の母親が記した、「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログを国会で取り上げたことを機に一挙に知名度を上げていた。

 当選2回、41歳。元検事で弁も立つ。支持率低迷に苦しむ民進党が「ニューヒロイン」として担ぎ出した山尾氏が安倍晋三首相を追及する姿に、民主党時代、長妻昭氏(現民進党代表代行)から「消えた年金」問題でやり込められた悪夢を思い出す厚労官僚も多かった。ある幹部は「待機児童問題が、年金記録問題の時のような逆風になったら手をつけられない」と漏らす。 ただ、山尾氏は就任早々つまずいた。自身が代表を務める愛知県の民主党(当時)支部で、2012年に約230万円のガソリン代を事務所経費として支出していたことが明らかになった。発覚から一週間、4月6日に記者会見した山尾氏は「秘書による不正請求」と説明したものの、クリーンなイメージが色あせた印象は否めない。厚労省内は「まだどう転ぶか分からない」と見る向きが多いとはいえ、一時の危機感は薄れつつある。

政府の待機児童の緊急対策は、現行の保育所の定員枠を広げることを軸とした規制緩和が中心。財源不足から、多額のカネを要する対策は後回しにしている。 一方、民進党の対抗策は、保育士の給与を月額5万円増やし、不足している保育の人材を確保する案だ。野党5党で共同提案した法案に盛り込んだ。ただ、民進党は直前まで「月額給与1万円増」を主張していたのに、「少なすぎる」との批判を浴びるや、一気に「5万円増」とした。しかし、約2800億円とみられる財源をどう工面するかは示していない。2009年の衆院選で「月額2万6000円の子ども手当」などの公約を掲げて政権を取りながら、財源確保に苦しんだ揚げ句、政権を手放した時の反省は見えてこない。 山尾氏の一枚看板では弱いと判断したのか、民進党は4月5日には「年金損失5兆円追及チーム」を発足させた。

官邸の意向で年金資金運用を株式中心に変えた15年度は大幅の運用損が出ると見込み、「消えた年金」問題と同様に政府を追及できると踏んだようだ。 だが、厚労省幹部は「年金運用は中長期の結果で判断すべきもので、職員の対応がいい加減だった年金の記録漏れとは訳が違う。ポピュリズム気質は民主党時代のまま」と苦笑いする。

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