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第48回「隠蔽体質」を次々露呈する長谷川閑史政権の末路

第48回「隠蔽体質」を次々露呈する長谷川閑史政権の末路
虚妄の巨城 武田薬品工業の品行
「隠蔽体質」を次々露呈する長谷川閑史政権の末路

やはり「炎上」は現実のものとなった。前号で予想した通りだ。武田薬品工業が降圧剤「ブロプレス」の広告に臨床研究の論文と異なる不適切なグラフや表現を用いていた「CASE‐J事件」。武田には有利なデータを引き出すため、研究者に働き掛け、研究者の依頼で社員が学会発表用に作ったグラフを薬の宣伝に利用した嫌疑がある。

日弁連基準に反した「第三者機関」
 武田は3月に記者会見を開いた。〈社内調査を通じて、「データ改ざん」および「利益相反上の問題」は確認されなかった一方で、CASE‐J試験の結果を用いた「プロモーション活動に不適切な部分があった」ことが判明したことをご説明し、患者様や医療関係者の皆様にお詫びを申しあげました。また、引き続き、社内調査では十分に解明できなかった点について、第三者機関(ジョーンズ・デイ法律事務所、以下「ジョーンズ・デイ」)に調査を依頼することをご報告〉した。

 日本弁護士連合会は〈企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン〉を策定している。第三者委員会とは何か。〈犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等(以下、「不祥事」という)が発生した場合及び発生が疑われる場合において、企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会〉に他ならない。

 同ガイドライン〈第2部指針〉〈第2〉〈5.利害関係〉は以下の通りに規定する。

 〈企業等と利害関係を有する者は、委員に就任することができない〉

 この規定には次のような註がある。〈顧問弁護士は、「利害関係を有する者」に該当する。企業等の業務を受任したことがある弁護士や社外役員については、直ちに「利害関係を有する者」に該当するものではなく、ケース・バイ・ケースで判断されることになろう。なお、調査報告書には、委員の企業等との関係性を記載して、ステークホルダーによる評価の対象とすべきであろう〉。

 検察OBの弁護士はこう解説してくれた。

 「ジョーンズ・デイは武田のお抱え弁護士集団です。つまり、同社の第三者機関は日弁連の規定を満たしていません」

 この点を頭に置いて、武田の「報告書」を見ていく必要がありそうだ。

 〈武田薬品が、企画段階から学会発表まで一貫してブロプレスの付加価値最大化のため医師主導型臨床試験を活用しようとしてCASE‐J試験に関与したことが認められた。かかる関与は、EBMセンターがCASE‐J試験に関して武田薬品の意向を受け入れてしまうのではないか、又は、事実上、武田薬品の意向がCASE‐J試験に反映されてしまうのではないか、といったことが懸念されるものと考えられ、今日における医師主導型臨床試験に関する製薬会社の関与の在り方と比されると、疑義を呈される内容のものであった〉

 要するに「クロ」ということだろうか。一方で、以下のような記述も散見される。

 〈本グラフに接した医療用医薬品を処方する医師の知識及び経験に照らし、異なるグラフの使用が、ブロプレスの有効性に対する誤解を惹起させ、使用の選択を著しく偽っているとまでいうことができないと考えた〉

 〈武田薬品が製作・使用したCASE‐J試験を利用した販促資材の記載には、薬事法第66条に規定する虚偽広告又は誇大広告に該当するものは存在しない〉

 こうした評価を文言通りに受け取っていいのか。

 「噴飯物です。この程度の報告書ではすでに動き始めている東京地検特捜部も捜査に本腰を入れざるを得ないでしょう。ノバルティスファーマには家宅捜索に入った上で社員を逮捕している。ノバは日弁連の規定に沿った本来の第三者機関を設置。人事でも旧執行部を一掃しています。武田だけ見逃す理由はなくなりました」(同前)

 報告書によれば、武田は研究者側に37億5000万円を寄付。事実上のプロモーター、スポンサー的な立場にあった。研究には社員が深く関与している。主要な評価項目で他社品との間に「有意差がない」との解析結果が伝えられた場合、糖尿病の新規発症の定義変更や統計解析の項目の追加を研究者に再三要求。「有意差あり」とする結果を「創作」せしめている。一連の所業を武田がうそぶくように「国際基準に照らして行った変更で、医学的な結果をゆがめるものではない」とまでしてしまっていいものだろうか。

 「医師主導臨床研究の公正性に疑念を生じさせかねない関与や働き掛けを行った点について、多くの関係者に深くおわびする」

 本誌がお手元に届くころ、株主総会を経て社長の座を「禅譲」しているはずの長谷川は会見で陳謝せざるを得なかった。経済同友会代表幹事という公職に関する進退までただされる事態。これには「今後考えます」と答えるのが精いっぱい。否定しなかったことで深刻さが浮かび上がる。

アクトス、創業家の乱、「ネシーナ」事件
 本誌既報の通り、武田は他にも米国で糖尿病治療薬「アクトス」の発がんリスクをめぐり合計90億㌦(約9200億円)の懲罰的賠償の支払いを求める評決を受けている。6月中旬にはクリストフ・ウェバーへの社長交代に反対する武田家ら創業一族の「反乱」もメディアをにぎわせた。さらにはこんな観測まで持ち上がっている。

 「門脇孝・東京大学医学部附属病院長が関与している糖尿病薬『ネシーナ』の事案も今後表面化する可能性がある」

 問題視されているのは「J‐BRAND」という臨床試験。門脇氏が責任者で日本糖尿病学会も力を入れていた。医師主導臨床試験だが、武田がウェブサイトを作成。登録するだけで医師には3万円の実入りがあったという。2型糖尿病患者ならだれでも武田薬品の「ネシーナ」に切り替えられるデザイン。全国規模で病院が参加している。

 官邸に近い事情通も声を潜めて語る。

 「官邸筋も国内製薬トップの相次ぐ不祥事に怒り心頭です。『このままでは国際戦略どころではない』との声も出ている。シンガポールから前会長の武田國男が帰国し、株を買い始めています。長谷川へのなコメントが止まりません。一連の臨床研究不正では、官邸は相当本気のメッセージを発している。地検が動きだしたのは、この流れではないでしょうか」

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