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またも不祥事……それでも厚労省が遺骨収集する理由

またも不祥事……それでも厚労省が遺骨収集する理由
またも不祥事……
それでも厚労省が遺骨収集する理由

 シベリア抑留者の遺骨として、厚生労働省の収集団が持ち帰った遺骨の中に、日本人以外の骨が含まれていたことが発覚した。2014年8月、東シベリアのザバイカル地方で発掘された16体をDNA鑑定した結果、日本人ではない骨が含まれていたのだ。

 「収集は抑留死亡者の埋葬地と推定される場所に日本の収集団が赴き、ロシア側の鑑定人が日本人と判断した遺体を火葬し遺骨を持ち帰る流れ。埋葬地の推定には史料の他、現地の長老などの証言が重要とされるが、これだけ時間が経つと場所の特定が難しくなっている」と厚労省担当記者は解説する。案内された場所が日本兵の埋葬場所でなく、現地の人の墓だったという事態も起きているようだ。

 先の大戦後に旧ソ連によって連行され、過酷な労働にかり出されたシベリア抑留者約60万人のうち、5万4000人が現地で死亡したとされる。収集は1991年度から始まったが、いまだ遺骨の半数以上が日本に戻れずにいる。2016年に議員立法で成立した戦没者遺骨収集推進法は遺骨収集を「国の責務」と明記し、国は24年度までを収集の集中実施期間としているが、収集できたのは年900人分前後と低調だ。

 「遺骨収集を巡っては、厚労省が委託したNPOがフィリピンで収集した遺骨に日本人以外の骨が交じっていたり、今回と同じロシアで日本に持ち帰ってDNA鑑定するはずの61体分の歯が誤って焼却されたりとトラブルが相次いでいる」(同記者)。

 旧ソ連の遺骨は南方の激戦地に比べ保存状態が良いためDNA鑑定で身元が分かる可能性が高いが、杜撰な収集で叶わなくなる事態が相次いでいるのだ。

 同記者は「全兵士を祖国へ帰すことが国是の米国では、戦争捕虜・戦中行方不明者捜索統合司令部という軍の専門機関が遺骨収集を行っている。それに比べ日本は厚労省の担当部署の人数も少なく、関係国や現地関係者との調整に時間を割く余裕もない。だから日本人の遺骨だと簡単にだまされてしまう」と嘆く。

 行政機関たる厚労省の体制を見直さない限り、今後も不祥事は相次ぎそうな雲行きなのだ。

協会けんぽの調査に
地方から期待の声

 抗生物質(抗菌薬)が効かない薬剤耐性菌が世界的に問題となる中、全国健康保険協会(協会けんぽ)が興味深い調査結果を公表した。2017年度に風邪の症状に多い「急性上気道炎」との診断を受けた協会けんぽ加入者のレセプト(診療報酬明細書)を都道府県別に調べたところ、抗生物質を処方された割合が、奈良県で48・9%と最も高かったのだ。全国平均は35・9%で、最も低かった福井県は26・6%とかなりの開きがあった。ちなみに、上位は奈良県、宮崎県(47・6%)、和歌山県(46・6%)で、下位は福井県、北海道(30・0%)、沖縄県(30・9%)だ。

 関西地方の内科医は「あの医者が抗生物質をよく出しているといった情報が入ることはよくある。ただ、他の医師の処方行動に口を出すことはためらわれる」と打ち明ける。

 「調査は初めて実施されたもので、協会けんぽによると、抗生物質の適正な使用を促す目的で行われたという。処方が多いと指摘された都道府県で抑制が進んでいるか、継続的に調査する必要がある」と医療担当記者は話す。

 協会けんぽの調査が、時代に逆行する医師の処方行動を変えるきっかけになるか期待される。

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