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第155回 定まらない新型コロナワクチン「接種スケジュール」

第155回 定まらない新型コロナワクチン「接種スケジュール」

 新型コロナウイルス感染症のワクチンに関して、国内での接種スケジュールが定まらない。

 政府は当初、全国民分を6月末までに確保すると説明してきたが、河野太郎・規制改革担当相は1月にワクチン担当に就任するや、事実上撤回した。事態が頭越しに進む中、厚生労働省は3人の担当閣僚に振り回されている。

 「政府内の情報の齟齬がございまして、あのスケジュールに関するご発言については修正をさせていただきます」

 1月22日の閣議後の記者会見で河野氏はこう語り、供給スケジュールは未定だと強調した。

 「あのご発言」とは前日に坂井学・官房副長官がワクチンについて、「6月までに対象の全ての国民に必要な数量の確保を見込んでいる」と述べていたものだ。

 菅義偉首相は昨年10月の所信表明演説で「2021年前半までに全ての国民に提供出来る数量を確保する」と表明していたが、1月25日の衆院予算委員会では「6月」の期限に関し、「目指している」へと後退させた。

 ワクチン接種は既に50カ国以上で始まっている。

 一方、日本では一部の医療従事者を対象に2月中旬からとしたが、65歳以上の高齢者は3月末の予定が「4月1日以降」にずれ込み、他の一般国民はいつから接種出来るのかはっきりしていないのが現状だ。

 政府はこれまで、米ファイザーと6月までに1億2000万回分(6000万人分)を受ける合意をした他、英アストラゼネカ等からも供給を受ける事で6月中に必要量を確保出来るとしてきた。

 しかし、ファイザーとの約束は基本合意にすぎず、1月20日に結んだ正式契約では「年内」に1億4400万回(7200万人分)へと変わった。

 ファイザーは昨年4月、新型コロナウイルスに関するワクチン開発で国際共同治験をスタートさせた際に患者数が少ない日本を含むアジア各国を対象国から外した。同社が日本での治験を始めたのは10月から。

 一連のスケジュールの遅れについて首相周辺は「薬害を怖がる厚労省がぐずぐずしていたからだ」と言う。

 田村憲久・厚労相、コロナ担当の西村康稔・経済再生担当相もいる中、菅首相がワクチン担当相に河野氏を就けたのは、厚労省任せでは迅速さに欠くと判断した面がある。ファイザーとの正式契約も、官邸から尻をたたかれた米国の日本大使館が担当した。

 更に、河野氏は平井卓也・デジタル担当相とともに接種記録の管理にマイナンバーを活用し、一元化する事を確認した。自治体による紙台帳での管理も想定していた厚労省には寝耳に水で、省内からは「今からでは混乱する」との不安も漏れる。

 同省幹部は「独善的な河野さんに調整出来るのか。西村さんは河野さんをやっかむし……」と複雑な表情だ。

 1月末時点でファイザー製ワクチンはまだ日本では承認されていない。モデルナは1月21日に日本での治験をスタートさせたばかり。欧米でも需要増で遅れが出ている。

 万一重篤な副反応が見つかれば「年内の供給」どころではなくなる。

 厚労省幹部は「わずか1年で開発されたワクチンなんて、個人的には打ちたくないね」とつぶやく。

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