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第18回未来の会

第33回 「第三者性」さえも解さぬ長谷川閑史の無知蒙昧

第33回 「第三者性」さえも解さぬ長谷川閑史の無知蒙昧
虚妄の巨城 武田薬品工業の品行

 武田薬品工業「湘南研究所」は1月17日、28日の両日、神奈川県藤沢市・鎌倉市との「環境保全協定」に基づく「連絡会議」「連絡会」をそれぞれ開催した。事務局は行政が務め、〈近隣の皆様〉のみが対象。それ以外は傍聴すら認められない。議事録は抄録のみで文責が誰にあるのかも不明。武田の独善性と排他性を体現している。

事故後1年でやっと出たアセス結果

 本誌は鎌倉市連絡会の席上で配布された資料を入手した。〈環境保全協定に基づく連絡会〉と標題を記した表紙の下には〈武田薬品工業株式会社 湘南研究所〉の文字が配してある。会の主催者は武田なのか。開催の可否はもちろん、日時や議題もお手盛りで決まっているのはそのせいらしい。

 内容もおよそ東証一部上場の国内製薬最大手とは信じがたい低水準にとどまっている。〈本日の議題〉として以下の4項目が挙げられている。

湘南研究所の安全・安心の確保

「リスクアセスメント報告」を中心に

環境保全に関する協定書に係る覚書の一部改定について

その他の連絡事項

ご近隣との関係

 最も注目されるのは、言うまでもなく①の〈安全・安心の確保〉。中でも「リスクアセスメント報告」である。発生以来、本誌で何度もお伝えしてきた湘南研漏出事故(2011年11月30日)。事故の原因や内容、評価についてここで繰り返すことはしない。武田の対応は不作為の一語。問題だらけであり、今日も住民は〈安全・安心の確保〉とはほど遠い環境に置かれたままでいる。

 武田は事故発生から実に半年以上が経過した12年5月、6月に連絡会議・連絡会を開催。それまで住民への説明は一切行っていない。会議・会では外部機関に自らの研究所のレベルを調査委託したことを明らかにしている。この発表からもさらに半年が過ぎた1月、ついに結果が発表された。生き馬の目を抜く製薬業界で幾多のライバル企業としのぎを削る企業にふさわしいスピード感だ。

 同資料によれば、武田側の自己への対応は以下の経過をたどっている。

11年12月 漏水事故該当工事完了

12年2月 類似施設対策工事完了

12年3月 外部専門機関による研究所全体のア

セスメント開始(自主的対応)

12年10月 外部専門機関による報告書受領

13年3月 外部専門機関の指摘事項等対応完了

(予定)

 いかがだろうか。〈自主的対応〉と不要なアピールには余念がないものの、内容は空疎だ。

 まず、〈外部専門機関〉がどこなのか。武田は一貫して隠蔽してきた。〈アセスメント〉への〈安心の確保〉には不可欠の情報ではないのか。

 資料の〈アセスメント実施会社〉紹介には〈約40カ国に展開する世界有数の環境・安全衛生・社会コンサルティング企業〉〈日系企業を含む多くの多国籍企業に対する環境安全評価を行った実績〉といった文言が誇らしげに並ぶ。前記のキーワードをインターネット上の検索サイトに入力したところ、次の企業に突き当たった。

 イー・アール・エム日本株式会社。以下の文は同社のウェブサイトからの引用である。

 〈ERMは環境・社会・労働安全衛生に関わるリスクマネジメントを専門に手がける世界有数のコンサルティング企業です。現在、世界約40ヶ国に140以上のオフィスを有し、4000名超の専門家を擁しております〉

 〈日本企業、政府機関、日本で事業展開する多国籍企業に対してサービスを提供しております〉

 あまりに酷似している。本誌では同社に武田のアセスを受注した事実があるかを確認したが、期限までに回答は得られなかった。

 資料では結果を〈アセスメントの概要〉として掲載している。議事録同様、全文ではない。社会的責任を重んじる企業であれば、調査結果の文書の写しをそのまま載せる。当然、社名や担当者の名前も明示された、署名・捺印の入ったものだ。そんな基本的な作業すら怠るのが武田イズム。これでは何のために〈外部専門機関〉に依頼したのかまるで分からない。極端な話、武田が「アセスを実施した」「結果はこう出た」と虚偽の発表をしていても、誰にも検証のしようがない。

 資料は〈外部機関の総評〉として以下を列挙。

リスクアセスメントを開始した時点で、既に2011年の事故に対処するための改善は適切に行われていた。(水道栓の撤去、防水加工の強化、手順書の改善、注意喚起の張り紙掲示、教育訓練の再実施等)

湘南研究所の設備は、他社の研究開発設備と比較をしても最先端の仕様となっており、国際的な他の製薬、化学メーカーと比較しても、管理レベルは高いといえる。

湘南研究所の設備は、設備機器的な観点からは標準的な設計となっており、同様の業界における一般的な事例から逸脱する設備・機器は存在していない。(集中滅菌装置、排気・排水処理設備等)

研究所の経営層・各研究部門の管理者の安全への認識は非常に高いが、業務従事者全員に対して施設・設備の安全に関する情報の共有化を進め、さらなる安全意識の浸透が望まれる

リスクアセスメントの結果に基づき、専門的見地から、研究所全体の設備機器に関する改善の可能性を提案した。武田では、これら全ての提案について対策を検討し、担当者を決めて対応を進めており、重要なものについては、ほぼ対策を完了している。

数値や固有名詞が皆無の「総評」

 引き写していてもむなしくなるだけの空文。問題はまったくなかった。見事な出来レースだ。

 総評にある〈適切に〉〈最先端の仕様〉〈管理レベルは高い〉といった評言は何を基準にしているのか。客観的に数値化して明示できないのであれば、「印象批評」の域を出ない。〈他社〉や〈他の製薬、化学メーカー〉〈経営層・各研究部門の管理者〉など、全ての固有名詞は秘されたままだ。〈安全・安心の確保〉にはほど遠い。

 事故発生とその後の対応で住民や議会、行政をした武田。「第三者性」の意味と重要性を社長・長谷川閑史に早く教えることだ。 (敬称略)

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