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未来の会

第194回 ◉ 浜六郎の臨床副作用ノート
ラニチジン発がんは用量依存性

第194回 ◉ 浜六郎の臨床副作用ノートラニチジン発がんは用量依存性

H2ブロッカーのラニチジンに関して2019年9月、閾値のない発がん物質N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が許容基準値を超えて検出され、世界的に問題化し各国で回収措置がとられた。本欄第175回でラニチジンとがん発症との因果関係を考察したが、その後さらに詳細に検討し結果の概略を紹介する。

メタ解析で全がん、胃がんが有意

 Wang報告1)のほか、新規処方例のみを扱い、因果関係検討の必須条件である時間性を満たしメタ解析に入れるのが適当と判断したコホート研究が全がんで5報告、10コホート、胃がんでも6報告、7コホートあった。報告されたハザード比(HR)を用いて、サマリーメタ解析を実施した。全がんの統合HRは1.07(1.04, 1.10)、p<0.0001、胃がんはHR1.14(1.04, 1.24)、p=0.0035であった。HRは大きくないが、I2がいずれも0%と低値で異質性がなく一致性を満足する。p値が0.0001未満、0.0035と低く、帰無仮説に反し、対立仮説を支持する強固な証拠である。後述するように、用量-反応関係と大きい寄与リスクのp値がいずれも低いため、関連は強固である。

明瞭な用量-反応関係を認めた

Wang報告1)に、 胃がん、肝がん、肺がん、膵がんについて累積用量(DDD)別のHRと95%CIのデータがあった。0(対照群)と4用量(135、235,315、405DDD)のHRとの単純直線回帰、Spearman順位相関、HRの95%CIで重みづけのメタ回帰分析、がん種を共変量に入れたメタ回帰分析、原点を通るメタ回帰分析を実施した。その結果p値は、単純相関が、胃がん0.049と肝がん0.004で有意、Spearman順位相関で、胃がん0.037、肝がん0.017、4種がん合計0.029で有意であった。メタ回帰分析では、傾きは全て正で、胃がんは境界値の0.085、肝がん0.0002、4種がん0.0002が有意であった。がん種を共変量に入れたメタ回帰分析では、がん種による異質性は認められず、4種のがんは総合してラニチジンとの用量-反応関係が認められた。原理的に最も適切と考えられる原点を通るメタ回帰分析では、すべて正の相関があり、膵がん以外有意、4種合計ではp<10-5で有意であった。

がん発症は生涯で10万人あたり1000人超にも

国のNDMAの許容基準は10万人に生涯で1人未満のがん発症である。しかし、ラニチジン服用者のがん罹患率と、非服用者のがん罹患率との罹患率差(/10万人年)、すなわち寄与リスクが計算できる4報告をメタ解析した結果、全がんで10万人年あたり26.1(10.7,41.5)、p=0.0009と推定された。胃がんでも、6.1人(1.6,10.7)、p=0.0083であった。対象者の平均年齢はそれぞれ54歳、53歳なので、男性では平均余命まで28〜29年あり、全がんで10万人あたり28年間で734人、胃がんは29年間で177人増加すると推定される。

これらの調査対象者での累積ラニチジン平均用量は、全がんで101DDD、胃がんで126DDDであった。したがって、全がんは平均用量2倍で10万人中1000人をはるかに超え、胃がんは600DDDを超えると10万人中800人を超える可能性があり、国の発がん許容基準である生涯に10万人に1人の増加をはるかに超える。

ラニチジンの服用とがん発症に因果関係

 ラニチジンを服用すると、非服用者に比し高頻度、かつ用量依存性に多数が、がんを発症する。関連は強固であり、再現性があり、動物実験や保管中NDMA濃度上昇など、周辺症状事実と矛盾なく説明ができ整合性がある。したがって、因果関係があると結論できる。

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