
アブリスボは、乳児のRSウイルス(RSV)感染を防ぐ目的で妊婦に接種するファイザー社製のワクチン。4月からの公費による定期接種化の差し止めを求める要望書1)を医薬ビジランスセンターは提出し、薬のチェック誌でも解説した2)。その概略を紹介する。
類似製品は、早産と乳児死亡増で開発中断
アブリスボは、RSVが感染の際に利用するタンパク質RSVpreFを抗原とするワクチンである。ほぼ同じ成分を抗原としたGSK社製は早産(リスク比RR=1.38)と新生児死亡の倍増で開発中止となったが、アブリスボはなぜ各国で承認され、日本では定期接種を決定したのか? 薬のチェックで徹底検討した。
割付けの偏りの可能性が大
ワクチンで減るはずのない先天異常が、アブリスボ群の児に、プラセボ群よりも有意に少なかった(RR=0.80、p=0.0375)。
また、早産は乳児死亡増加のリスク因子であり、GSK社製は早産も乳児死亡もワクチン候補群に多かった。アブリスボでは有意に近い早産増加があったにもかかわらず、アブリスボ群の乳児死亡はプラセボ群の半分に過ぎない。この不自然な偏りはランダム割り付けの不公正を強く疑わせる。しかも先天異常に関係する薬物使用歴を開示していない(アウトカム評価のデータ操作疑いは割愛)。
RSV陰性感染が増え全感染症は防止できず
RSV陰性感染の増加でRSV陽性感染の減少は相殺され、全感染例は全く減少していない。利益を主張できないこの事実を国は考慮せず。
絶対リスク減少0.5%より害のリスク差が大
国は、アブリスボの利益をもっぱら相対リスク減少RRRで評価し、絶対リスク減少ARRを一切考慮していない。利益と害との比較のために、気道感染のARRと、害の絶対リスク増加(リスク差RD)を用いて徹底評価した。RSV陽性入院気道感染の減少で評価しても生後1年で児のARRは0.5%前後、NNTBは約200であった。
人工早産の害は、児への利益を上回る
母体の妊娠高血圧症候群(いわゆる「妊娠中毒」)による医療介入適応(人工)早産のリスク差(0.49%、p=0.0247)、他の妊娠合併症を含む全人工早産のリスク差(0.65%、p=0.0260)はいずれも有意で、児への利益を上回っていた。NNTHはそれぞれ205、154。全重篤有害事象(入院相当以上)のリスク差は、1.06%(p=0.2127)、NNTHは95であった。
乳児の害も利益の2倍以上に
乳児の全重篤有害事象中、割付の偏りの結果が疑われる「先天異常と非RSV感染死亡」を除く重篤有害事象を検討すると、リスク差が1.20%(p=0.1249)、NNTHは83であった。これらをp>0.05により「差がないので安全」とすると、重篤な害を見逃す確率が高い。割付けの偏りを調整すれば統計学的にも有意となる可能性が否定できない。
定期接種で年間2500人利益? 1万人超に害
定期接種化で妊婦の約8割50万人が接種すれば、年間約2500人がRSV陽性感染による入院を免れるが、約5000人の妊婦が入院するほどの害を被り、うち半数以上が妊娠合併症で人工早産、半数は妊娠中毒で人工早産となる。また、RSV陰性感染が増え、約6000人の乳児が入院するほどの害を被ることになると推定される。
結論:妊婦用アブリスボの定期接種化は薬害につながる。国は定期接種を開始しないこと。
参考文献
1)医薬ビジランスセンター、厚生労働省への要望書
https://medcheckjp.org/quick/yobo/
2)薬のチェック2026: 26(124): 42-44





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