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未来の会

269 JA愛知厚生連 海南病院(愛知県弥富市)

269 JA愛知厚生連 海南病院(愛知県弥富市)

アートと共に紡ぐ安心と癒やしの医療
269 JA愛知厚生連 海南病院(愛知県弥富市)

木曽川下流の肥沃な水郷地帯・愛知県弥富市。江戸時代から発展を遂げてきたこの地に、農協(JA)の前身となる産業組合が地域住民の為に海南病院を設立したのは、1938年の事だった。開設時は内科・外科のみ、20床の病院だったが、戦後、愛知県厚生農業協同組合連合会(JA愛知厚生連)に移管され、地域に根差した病院として発展してきた。

59年の伊勢湾台風では壊滅的な被害を受けたが、水害に見舞われた街の中を船で巡回診療する等、地域医療を支えた。その2年後に病院を再建した後は、増改築を重ねて規模を拡大していき、2011年から17年頃に掛けてスクラップアンドビルド方式により全面改築工事を行った。

その為工事は6年以上掛かったが、開設当初から大幅に増床され、診療棟やAB棟など5棟で構成される大規模な病院に生まれ変わった。その中で、新病院では患者の癒やしになる空間も提供しようと、アートを積極的に取り入れた。

1日に千数百人の外来患者が行き交う診療棟ではロビーを3階迄の吹き抜けにし、明るく落ち着いた雰囲気になるよう設計。正面玄関から入った先、吹き抜けの2階部分に見えるステンドグラスは、ガラス張りの正面玄関に差し込む光を反射し、ロビーの雰囲気を華やかなものにしている。同じ診療棟の4階に在る緩和ケア病棟の壁面には、マグネットが付いた木工アートや掛け替えが自在な染色パネルが掲げられており、季節や行事によって利用者がそれらを自由にアレンジ出来る工夫も施されている。

手術センターや集中治療センター等が配置されているAB棟では、プロムナードに彫刻家、安田明長氏の作品「Silent Language」を配置した。作品は黒御影石で作られ、「沈黙」を表現している。書家の佐藤圭氏による中国古代文字の作品もあり、「榮」と「翼」の2つの書が並べられている。

又、3階から6階のエレベーター前には陶芸家、加藤令吉氏の手による陶壁を展示している。作品は各階の診療科に合わせてテーマを設定しており、例えば外科と消化器内科の患者が入院する5階では、患者に自然を感じて貰おうと鷺を描いた。自然を描く事で、自然治癒力が増す様にとの願いも込められている。

この他「ギフティッド」と呼ばれる、特定の分野に於いて非常に優れた能力を有している患者達の作品の展示会を毎年開催しており、25年には14回目を迎えた。人とのコミュニケーションが苦手であっても、絵や工作、動画等を通じて自分らしさを生き生きと表現する患者達の作品には目を見張らされる。生き辛さを感じる患者が安らぎを覚える場所を作り、社会参加を後押しする事も医療の大切な役割だ。

海南病院のシンボルマークには、木曽三川、ハト、四つ葉のクローバーが描かれている。木曽三川の清流に育まれた弥富の地に、優しさと平和の象徴のハトが、クローバーと共に安心と幸せを運んでくる。アートも又、安心と癒やしをもたらす医療を支える大切なパーツの1つとなっている。


269_JA愛知厚生連海南病院(愛知県弥富市)

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