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未来の会

第152回 ◉ 浜六郎の臨床副作用ノート 健康者接種バイアスの新証拠

第152回 ◉ 浜六郎の臨床副作用ノート 健康者接種バイアスの新証拠

オミクロンBA.1株対応のSARS-CoV-2ワクチンの接種が始まった。その効果は無いに等しいが(次号掲載予定)、正規の臨床試験もせず承認を急いだ理由は、武漢株由来の従来ワクチンがオミクロン株感染に無効だからだ。3回・4回接種でも、世界中で大流行になった。当初の抗体製剤2剤も無効である。従来ワクチンが無効であることは明らかだ。 

ところが、疫学調査で、死亡を含めたオミクロン株による重症例には90%以上の防止効果があったとして、ワクチン接種が進められてきた。現実と疫学調査との乖離現象を解くカギは、本シリーズ(147号)でも紹介した健康者接種バイアス(病者除外バイアス)である。ワクチンが効くはずのない非COVID-19死亡が、予測死亡率の5分の1に、非接種者に対しては9分の1になっていた。

今回、さらにこれを裏付ける結果がイスラエルの大規模調査を分析して得られ、薬のチェック速報版1)と英字版MedCheck2)に掲載した。その概略を紹介する。

イスラエル調査

Daganら3)は、2020年12月20日から21年2月1日までの44日間に、約60万人ずつの接種者と非接種者を選び、接種日から毎日SARS-CoV-2感染状況を調べ、2回接種7日目以降のSARS-CoV-2への感染、発病、入院、重症化、死亡に対する予防効果を調べた。その結果、SARS-CoV-2ワクチンは、感染に対して92%、発病に94%、入院に87%、重症化に92%防止効果があったと報告した。

接種当日から感染・発病が少ない

この論文のTable S7には、接種当日から1日毎の接種者数および非接種者数、脱落者数を含むLife tableが、SARS-CoV-2不顕性感染、発病者、入院COVID-19、重症COVID-19、COVID-19死亡の別に掲載されている。このデータを用いて接種当日の発生率 (/100,000人日)を求めると、不顕性感染は、接種者と非接種者でそれぞれ14と22(リスク比= 0.62[95%CI:0.47,0.82] )、発病者は15と38(リスク比=0.40[95%CI:0.31,0.51] )と、接種群の不顕性感染は、非接種群に比べて62%、発病者は40%に過ぎなかった。リスク比は1週目〜10日ごろまで上昇し、7日目の不顕性感染のリスク比は1.34、発病は1.03となっていた。

入院・重症・死亡者の初日リスクを推定

非接種群では、1日目から入院者がいたが、接種群では3日目まで入院は無かった。重症者は非接種群では3日目から、接種群では7日目から、死亡は非接種群で7日目に1人が死亡、10日目までに合計3人、14日目までに合計6人が死亡。一方接種群では10日目まで死亡は0人、14日目までに2人が死亡した。1〜2週間目の平均リスクから1日目のリスク比を推定したところ、入院は0.27、重症は0.18、死亡は0.13と推定できた。

ワクチンが効かなくとも死亡が87%減

ワクチン接種当日には効果が出るはずがないのに、ワクチン接種は見かけ上、SARS-CoV-2の不顕性感染を38%、発病を60%、入院を73%、重症化を82%、死亡を87%防止することになる。これはワクチンの効果ではなく、単に接種者が非接種者より健康であったことを示すに過ぎない。したがって、疫学調査で死亡に対して90%予防効果が示された場合、見かけのリスク比0.10を0.13で除し、補正リスク比は0.77(23%減)となる。実質的に予防効果は無い。

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