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コロナ後の社会、環境重視の社会で 日本が「経済力」を回復させるために

コロナ後の社会、環境重視の社会で 日本が「経済力」を回復させるために
原田 義昭(はらだ・よしあき)1944年福岡県生まれ。68年東京大学法学部卒業。同年八幡製鐵(現・日本製鐵)入社。70年通商産業省入省。90年衆議院議員(現在8期)。厚生政務次官、文部科学副大臣、財務金融委員長、外務委員長等を歴任。2018年環境大臣・内閣府特命担当大臣(原子力防災)。19年自民党総務会長代理。20年自民党外交調査会長代理・競争政策調査会会長。弁護士。著書に『コロナ時代を乗り切ろう』『環境対策こそ企業を強くする』等。
——7年8カ月に及んだ安倍政権をどのように評価されていますか。

原田 安倍政権が誕生した時、日本の経済は二重苦、三重苦の状態でした。円高、株安に、震災の打撃も残る状態から、アベノミクスと銘打って、金融緩和から経済の引き上げに取り組み、それを成し遂げたというのは、非常に大きな功績だろうと思います。しかも落ち込んでいた経済を立て直すだけでなく、しっかりした目標を定めて成長戦略を展開したところが大事です。

——やはり経済が第1の功績ですか。

原田 もちろんそれだけではなく、政治・経済・外交・社会福祉等も含めて総括するならば、この7年8カ月の安倍政権は、やはり相当な成果を挙げてきたと言っていいのではないでしょうか。私も最後の段階で環境大臣という重い役割をいただきまして、安倍政治の一端を担う事になりましたが、大変誇りに思っているところです。

——2020年9月に菅政権がスタートしましたが、菅総理に何を期待されますか。

原田 まずは安倍政治を継承すると言われたわけですが、菅総理なりの特色というか、カラーを出してきています。例えば、その1つがデジタル政策です。2000年代の初めの頃は、日本は世界のデジタル情報通信の最先端を走っていましたし、そうした意気込みもありましたが、20年たった現在は、はっきり言って惨めな状態になっています。ここはしっかり反省して、盛り返していく事が必要だろうと思います。2021年はデジタル庁を発足させるというので、これには期待しています。
また、旧来の行政の在り方を一から考え直そうという事で、河野太郎行政改革大臣がしっかり仕事をしてくれそうです。これも大いに期待出来るのではないかと思っています。それから期待したいのは経済力の強化ですね。例えば、私が政治の世界に入った1990年頃は、日本の国際的な経済競争力はいつも1位か2位と決まっていました。ところがあれから30年たって、2020年は34位にまで落ちています。経済は国力の基盤ですから、根本から立て直さなければいけないわけで、競争力の回復・強化を期待したいと思います。

コロナ後の新しい勝ち組・負け組

——デジタル政策で重要な点は何でしょうか。

原田 あらゆる行政分野でも、ビジネスでも、家庭生活でも、都会でも、地方でも、デジタルなくしては社会が成り立ちません。ただ、全てのデジタルの基本構造をGAFAに独占されているというのは、考えてみれば極めて危機的な怖い話だと思います。なんとかしなければなりません。しかし、デジタル分野で、根っこのところから日本が変えていくという事はもう出来ません。これから出来るのは、この分野は日本にしか出来ないという特殊な分野を作って行く事でしょう。日本の独自分野を切り拓く必要があります。そのためには、デジタルの研究への投資も必要になります。

——デジタル庁には民間人がかなり入るとか。

原田 それは当然です。行政側にも優秀な技術者がいますが、民間企業は最先端で内外の才能を集め、人材を育てていますから、そういう力を結集して総力戦で臨んでほしい。これからの日本にとって、ある意味で生きるか死ぬかの瀬戸際になります。菅政権がこのあたりに本気で取り組むというのは大事だと思います。

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