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第122回 解熱剤はCOVID死亡を増す

第122回 解熱剤はCOVID死亡を増す

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防で、解熱剤やステロイド剤による感染症の重症化と死亡率増大への影響に関する議論が完全に欠落している。「熱に弱いため、冷水を止め、湯がよい」との適切な情報がニセ情報扱いされている。薬のチェック88号1)と速報版No182-1852)を要約・紹介する。

09/10インフルエンザ流行初期と似た死亡率

 09/10インフルエンザ(09/10flu)の2009年5月までの米国の症例死亡率は20歳未満0.5%、60歳以上約6%、成人平均3.7%だった。1918年のパンデミック並みの強毒性と恐れられ「水際対策」が強調されたが効果はなく、日本では2000万人超が受診した。死亡数は198人。10万人に1人以下と季節性インフルエンザより少なかった。

イブプロフェンは感染症を重症化・死亡増

 解熱剤として、小児や成人にイブプロフェンなどの非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)を水痘に用いると重篤な感染を10倍増やす(3件の症例対照研究のメタ解析結果)。感染動物の死亡率を約25倍高めることがメタ解析結果から推定された。ランダム化比較試験(RCT)では、アセトアミノフェンでも水痘の治癒を遅らせ、敗血症患者の死亡率を高めることが判明している。米国では成人用にイブプロフェン400mg錠、600mg錠が市販されている。米国の高死亡率の原因は、イブプロフェンなどNSAIDsの多用のためだろう。今シーズンも、2月29日現在米国では約4000万人のインフルエンザ患者中3.6万人が死亡したと推定されている。この死亡率の高さもNSAIDs多用とは無関係ではないだろう。

 中国では09/10fluで初期にステロイド剤を使った人の不使用者に対する重症化/死亡のオッズ比は6.5(p=0.002)と有意に高かった。今回の流行時の武漢での症例死亡率は5%を超えており、重症者の70%にステロイド剤が使用されているので、関連が疑われる。

インフルエンザよりも高齢者には強毒性

 年齢別の死亡率で見る限り、COVID-19の死亡率は小児では米国09/10flu初期の死亡率よりも低い。80歳以上で突出しているのみだ。ただ、インフルエンザウイルスは基本的に呼吸器にしか感染しないが、COVID-19ウイルスはSARS-CoV同様、ACE2を受容体とし血中に移行し、全身細胞に感染する。ACE2はストレスや高血圧、ARB、ACE阻害剤で増加する。高齢者や合併症を持つ人で感染しやすく重症化しやすいのはこのためだ。

コロナウイルス予防には保湿・保温が有効

 SARS CoVやその代理ウイルスは、4℃、湿度20%ではほとんど死ぬことなく1か月以上生き延びるが、湿度95%以上、かつ24〜33℃では1日で10分の1となり、2〜3週間で完全に死滅する。湿度95%超では、38℃で24時間以内にほぼ死滅し、40℃では6時間で死滅する。

 保湿と保温がウイルス感染・発病防止に極めて有効で、コクランレビューでマスクが手洗いより有効なのは、このためと考えられる。解熱剤やステロイド剤で解熱させるのは最悪である。

 ARBやACE阻害剤の他、カルシウム拮抗剤、睡眠剤・安定剤、PPI、コレステロール低下剤など免疫を低下させる薬剤は、できる限り避けたい。


参考文献
1) 薬のチェック、2020:20(88):47-48.
2) 薬のチェック速報No182-185. https://www.npojip.org/

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