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未来の会

第111回 ゾフルーザに深刻な害:出血

第111回 ゾフルーザに深刻な害:出血

 厚生労働省(厚労省)は、抗インフルエンザ剤バロキサビル(商品名ゾフルーザ)の販売以降、死亡例3例を含め25例の出血の報告があったと公表し、販売企業に添付文書の改訂を指示。「重要な基本的注意」で、数日後も含めて出血の可能性があり得ると、患者・家族に説明することを求めるようになった。また、「ワルファリンとの相互作用によるプロトロンビン時間の延長」を加え、重大な副作用の項目に「出血が現れた場合には適切な処置を行う」と追加した。

 ゾフルーザは、本シリーズ第106回で、従来の薬剤(タミフル)と比較して効果に差はなく、耐性の出現が多く、凝固異常の危険、無毒性量がヒト用量の高々2〜3倍にすぎないこと、個人差の大きい酵素で代謝され相互作用も多く、重大な害が起これば救えない可能性があることを指摘した。

 今回、出血の害が現実となったため、薬のチェック誌1,2)では、公表出血例3,4)を示し、死亡に至る危険性があることを警告した。概略を紹介する。

プロトロンビン時間測定不能例

 公表データ中、いつ重大な出血が起こってもおかしくない深刻な出血例が2例あった。両例ともワルファリン併用例であり、しかも、数日後以降に肉眼的血尿、あるいは皮下出血と思われるあざが出現し、プロトロンビン時間、PT-INRが測定不能であった。1例はワルファリンの一時中止などで軽快したが、もう1例は、ワルファリン中止、ビタミンK1(合計40mg静注)でもPT-INRが改善せず、新鮮凍結血漿ではじめて改善した。

 厚労省は、死亡例3例の因果関係を否定しているが、全く信頼できない。タミフル使用後の異常行動死や、下剤使用後の腸閉塞死など、死亡例との因果関係をしばしば否定してきているからである。

使用当日にも出血

 使用当日に下血、あるいは口腔内出血をきたした例が2例報告されている。ゾフルーザはエステラーゼで極めて速やかに活性代謝物に代謝され、その血中濃度がピークに達する平均的な時間(Tmax)は数時間以内である。この2例は、平均的なTmaxにほぼ一致して出血が起こっている。

数日後からの出血の機序と血液製剤の必要性

 ゾフルーザを活性代謝物にするエステラーゼ活性の個人差は大きい。服用から数日以降の出血とINR測定不能に、エステラーゼの低活性と、活性代謝物の長い半減期が関係した可能性がある。

 また、ワルファリン併用例の出血にビタミンK製剤が無効で、新鮮凍結血漿を要した点も重大だ。人プロトロンビン複合体(ケイセントラ)でも効果があった可能性はあるが、さらに未知の凝固因子欠乏の可能性が否定できないので、当該例での新鮮凍結血漿は適切であった。

実地臨床では

 絶食時に服用すると、最高血中濃度が食後服用時の約2倍になる。高齢者やインフルエンザのハイリスク患者では、インフルエンザ罹患時に絶食になると、特に出血の危険性が高くなる。日頃健康な人に抗ウイルス剤は不要である。そして抗ウイルス剤が効いてほしいハイリスク者で、むしろ出血の危険性が大きい。ゾフルーザは使用する価値がない。


参考文献 
1) 中西剛明、浜六郎、薬のチェック2019:19(83):56-57
2) Editorial, 薬のチェック2019:19(83):51
3) 民医連 https://www.min-iren.gr.jp/?p=37200
4) 塩野義製薬株式会社 https://www.shionogi.co.jp/med/
 download.php?h=cf6889cd9995da00b7f136879bfc6eee

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