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第19回 脅かす後任いない鈴木氏は医務技監「続投」へ

第19回 脅かす後任いない鈴木氏は医務技監「続投」へ

 2017年7月の幹部人事で創設された「医務技監」の存在感が薄い。栄光ある初代の医務技監には、鈴木康裕氏(1984年、旧厚生省)が就任したものの、約2年が経過した今でも省内から「何をやっているのか分からない」との声が漏れる。それでも鈴木氏を脅かす後任がいないため、夏の幹部人事では留任するとみられている。

 医務技監は事務次官、厚生労働審議官に次ぐ3つ目の次官級ポスト。欧米では公衆衛生部門のトップ級が医師であることから塩崎恭久・元厚労相が医系技官のために創設した。ハーバード大に留学し、世界保健機関に派遣されるなど国際経験が豊富で、塩崎氏のお気に入りだった鈴木氏が保険局長から初代医務技監に抜擢された。

 鳴り物入りで創設されたポストだが、2年が経過したものの、その政策面での存在感は乏しい。それというのも、就任した直後の7月、18年度の診療報酬改定を巡り、専門紙記者とのインタビューで鈴木氏は、焦点となる改定率の目安になる自然増の概算要求額(6300億円)をにおわし、省内のみならず財務省からも怒りを買った。この騒動もあり、「年末の改定率を巡る議論からはほぼ外されていた」(厚労省幹部)という。

 その後も騒動は続く。医師の働き方改革を巡り、省内は医政局と労働基準局が日本医師会(日医)と連合というそれぞれの所管団体を背景に、残業時間の線引きについて綱引きを繰り広げていた。そんな最中、鈴木氏は「医師版の高度プロフェッショナル制度を作るべきだ」と発言したという。これには法改正が必要になるため、国会での与野党攻防の激しさをよく知る労働基準局から不興を買い、その後の線引きが迷走する一因を作った。ある民間の著名医師は「医務技監が今の働きなら民間人登用の方がいいのではないか」と指摘する声が出るほど。

 それでも国際舞台の場では活躍していた。事情を知るある中堅職員は「国際会議では鈴木さんはよく知られた存在。英語は堪能で、同じ医師同士ということもあって、鈴木さんが来ると人が集まってくる」と明かす。ただ、「政治家が集まる会議にも出席していたため、政治家でなく行政官だと分かると離れていく人もいた」と話す。活躍の一方で、限界もあるようだ。

 とはいえ、鈴木氏の続投は既定路線。ある幹部は「医務技監に登用した当時の二川一男・事務次官(80年、旧厚生省)は、鈴木が3〜5年やると言っていた」と明かす。まだ2年のため、少なくとももう1年は続投するとみられている。鈴木氏の将来的な後任には、同じ慶応大医学部卒業の宮嵜雅則・生活衛生・食品安全審議官(87年、旧厚生省)が有力だ。宮嵜氏は雇用均等・児童家庭局母子保健課長や大臣官房厚生科学課長、保険局医療課長などを歴任。ある日医幹部も「鈴木のあとは宮㟢だ」と太鼓判を押す。

 一方、後任候補の一人である宇都宮啓・健康局長(86年、旧厚生省)は同じ慶応閥だが、「過去に不祥事があり、上層部の受けも良くないため、ここから上は望めそうにない」(幹部)との見方が大勢を占める。

 存在感のない鈴木氏ではあるが、医系技官の数の少なさも相まって、このまま続投する機運が高まっているのが現状だ。

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