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未来の会

271 日本医科大学多摩永山病院(東京都多摩市)

271 日本医科大学多摩永山病院(東京都多摩市)

地域連携で心安らぐ絵画と庭園を提供
271 日本医科大学多摩永山病院(東京都多摩市)

高度成長期の住宅需要の急増に応えようと、東京都西南部の多摩丘陵にてニュータウンが街びらきを行ったのは1971年。その6年後、日本医科大学多摩永山病院は多摩ニュータウンを中心とする南多摩地区の医療の中核を担う為に開院した。以来、半世紀近くに亘り、規模を拡大しながら、地域医療を支えている。

 同病院は住民との交流も重視し、がん治療や一般的な医療等に関する市民向け公開講座を定期的に開催。ロボット支援手術の紹介や脳梗塞の予防、骨粗鬆症や膝の痛み等への対処法等を分かり易く解説し、好評を博している。一昨年からは小学3年生から6年生迄の児童を対象に、医療機器の操作や看護等を体験出来る「ながやまキッズ・セミナー」を開催し、多くの子供達が参加した。

 その様な地域交流に加えて、ホスピタルアートに取り組み始めたのは2023年。患者や家族の心が和らぐ様にと癒やしの空間を設けるプロジェクトを発足させ、先ず寄贈された絵画等を展示するギャラリーを設置した。場所は外来科等が入るA棟1階と、手術室等の在るB棟2階を結ぶ連絡通路。新棟建設に伴い大半が伐採され、数本のみ残ったA棟前の桜の嘗ての姿を忘れない様にと名称を「さくらギャラリー」とし、現在は患者の親族や地元の大学等から寄せられた絵画が飾られている。

 その他、藪野雄大形成外科部長の父親で、洋画家の藪野健氏もこのプロジェクトに賛同し、多くの作品が同病院に贈られた。藪野氏の絵画はさくらギャラリーとは別に、各棟の随所に展示されている。

 又、同時期に牧野浩司院長が、同じ多摩地域に立地する多摩美術大学の学生に絵画の制作を依頼。「絵画で病院を彩り、院内を明るくして欲しい」という牧野院長の思いに多くの学生が賛同し、24年6月にはそのうち1人の作品が幅3.3m、高さ2.4mの大型壁画アートとなって、A棟1階のエントランスに設置された。訪問者が最初に目にする場所に飾られた色鮮やかな作品は、病院と大学との地域連携の象徴として存在感を維持していると同時に、多くの人々の気持ちを明るくさせている。

 アート作品による癒やしに加え、植物の観賞により心を和ませ、リハビリにも繋げる園芸療法も取り入れている。23年12月、同じく多摩地域に在る恵泉女学園大学の澤田みどり特任准教授の協力により、入り口の横に「グレイス・ガーデン」と名付けた庭園を設けた。患者が治療の一環として水遣りや花殻摘み等の管理を行い、車椅子のままでも園芸作業が出来る様バリアフリーにも配慮した。それ迄敷地が狭い為外で寛げるスペースが無かった事もあり、ガーデンの設置以降、体操に勤しむ患者等、訪問者にとって憩いの場となっている。

 自然と都市機能が調和するニュータウンと共に歩んできた病院は、地域との共生を堅持させながら、患者が何時でも穏やかな気持ちで医療を受けられる様、積極的な活動を継続している。


271_日本医科大学多摩永山病院(東京都多摩市)

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