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未来の会

第8回 保険のルール
〜安全で良質な医療の提供を目指して〜

第8回 保険のルール〜安全で良質な医療の提供を目指して〜

外来管理加算

我が国の国民皆保険制度は、様々なルール(健康保険法等、健康保険法施行令等〈政令〉、療養担当規則〈省令〉、診療報酬点数表〈告示〉、通知等)により司られています。本企画は、保険診療の正しい解釈をお伝えし、保険医療機関の「安全で良質な医療」の提供と共に、収益増大の一助となる事を期待しています。

 今回は「外来管理加算(52点)」を取り上げます。本加算は、調べ得る限り平成4年に再診時基本診療料の注として収載され、その後、再診料の中で位置付けや注番号を変更しながら改定を重ね、現在の形に至っています。

 本加算は、診療所及び中小病院(200床未満)の特に内科系診療科再診時に、最も算定されるのではないでしょうか。処置を要さない診療でも、その診療行為の質(「懇切丁寧な問診」や「詳細な身体診察」等)を評価したドクター・フィーといえるものであり、その証しとして指導・管理内容の要点を診療録に記載する事を要件としています。

 しかし、本加算について厚労省から、患者からの聴取事項や診察所見の要点について診療録への記載が無い、又は不十分である事が公表されています(令和6年度特定共同指導・共同指導(医科)に於ける主な指摘事項)。

 患者から医師に最も求められる点は、適切な診療に基づき疾患に対する必要な指導・管理が行われる事です。その際、診療録への記載不備による本加算の算定は、医師への信頼を損ないかねません。厚生局による個別指導は、protect the public healthの観点から教育的機会として実施される事を、保険医療機関及び保険医には良く理解して貰いたいものです。

 目を通しておくべき告示、通知等を以下に示します。(下線は編集委員会)

【告示】
A001 再診料の注8として、入院中の患者以外の患者に対して、慢性疼痛疾患管理並びに別に厚生労働大臣が定める検査並びに第7部リハビリテーション、第8部精神科専門療法、第9部 処置、第10部手術、第11部麻酔及び第12部放射線治療を行わないものとして別に厚生労働大臣が定める計画的な医学管理を行った場合は、外来管理加算として、52 点を所定点数に加算する

【通知】 (令和6年3月5日の留意事項通知)
 (外来管理加算について)
(1)外来管理加算は、処置、リハビリテーション等(診療報酬点数のあるものに限る。)を行わずに計画的な医学管理を行った場合に算定できるものである。
(2)外来管理加算を算定するに当たっては、医師は丁寧な問診と詳細な身体診察(視診、聴診、打診及び触診等)を行い、それらの結果を踏まえて、患者に対して症状の再確認を行いつつ、病状や療養上の注意点等を懇切丁寧に説明するとともに、患者の療養上の疑問や不安を解消するため次の取組を行う。
 [提供される診療内容の事例]
1 問診し、患者の訴えを総括する。「今日伺ったお話では、『前回処方した薬を飲んで、熱は下がったけれど、咳が続き、痰の切れが悪い。』ということですね。」
2 身体診察によって得られた所見及びその所見に基づく医学的判断等の説明を行う。 「診察した結果、頸のリンパ節やのどの腫れは良くなっていますし、胸の音も問題ありません。前回に比べて、ずいぶん良くなっていますね。」
3 これまでの治療経過を踏まえた、療養上の注意等の説明・指導を行う。 「先日の発熱と咳や痰は、ウイルスによる風邪の症状だと考えられますが、○○さんはタバコを吸っているために、のどの粘膜が過敏で、ちょっとした刺激で咳が出やすく、痰がなかなか切れなくなっているようです。症状が落ち着くまで、しばらくの間はタバコを控えて、部屋を十分に加湿し、外出するときにはマスクをした方が良いですよ。」
4 患者の潜在的な疑問や不安等を汲み取る取組を行う。「他に分からないことや、気になること、ご心配なことはありませんか。」
(3)診察に当たっては、(2)に規定する項目のうち、患者の状態等から必要と思われるものを行うこととし、必ずしも全ての項目を満たす必要はない。また、患者からの聴取事項や診察所見の要点を診療録に記載する
(4)外来管理加算は、標榜する診療科に関係なく算定できる。ただし、複数科を標榜する保険医療機関において、外来患者が2以上の傷病で複数科を受診し、一方の科で処置又は手術等を行った場合は、他科において外来管理加算は算定できない。
(5)C000往診料を算定した場合にも、再診料に加えて外来管理加算を算定できる。
(6)投薬は本来直接本人を診察した上で適切な薬剤を投与すべきであるが、やむを得ない事情で看護に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合においても、再診料は算定できるが、外来管理加算は算定できない。また、多忙等を理由に、(2)に該当する診療行為を行わず、簡単な症状の確認等を行ったのみで継続処方を行った場合にあっては、再診料は算定できるが、外来管理加算は算定できない
(7)「注8」労働大臣が別に定める検査とは、第2章第3部第3節生体検査料のうち、次の各区分に揚げるものをいう。(以下省略。表1を参照) 

表1 外来管理加算の算定不可の診療行為

コード診療行為項目
12 再診料 電話再診
40 処置 
50 手術 
50 麻酔 
60 検査(生体検査) 超音波検査等
 脳波検査等
 神経・筋検査
 耳鼻咽喉科学的検査
 眼科学的検査
 負荷試験等
 ラジオアイソトープを用いた諸検査
 内視鏡
80 リハビリテーション 
80 精神科専門療法 
80 放射線治療 

Dr.の保険診療 うっかりCheck

Q:処置を行っても外来管理加算を算定出来るのはどの様な場合ですか。
A:基本診療料に含まれる(点数が付かない)簡単な処置を行い、その薬剤費のみを算定した場合、外来管理加算は算定出来ます。
【参考】 基本診療料に含まれ別に算定する事が出来ない簡単な処置とは、浣腸、注腸、吸入、100 ㎠未満の第1度熱傷の熱傷処置、100 ㎠未満の皮膚科軟膏処置、洗眼、点眼、点耳、簡単な耳垢栓除去、鼻洗浄、狭い範囲の湿布処置、その他第1節処置料に掲げられていない処置等です。

Q:患者本人から問診を行う事が困難な為、付き添いの家族等から症状を聞いた場合、外来管理加算は算定出来ますか?
A:小児や認知症患者等、本人からの問診が困難な場合には、付き添いの家族等から症状を聞いて、本人に対して診察を行い、家族等に対して懇切丁寧な説明を行えば、外来管理加算を算定出来ます。

Q:情報通信機器を用いた再診の場合、外来管理加算は算定出来ますか?
A:外来管理加算は、丁寧な問診と詳細な身体診察(視診、聴診、打診及び触診等)を行う事が要件とされている為、情報通信機器を用いた再診では算定出来ません。

Q:ブロック注射を行った場合に外来管理加算を算定出来ないのは何故ですか。
A:ブロック注射は診療区分で「麻酔(50)」に分類される為、算定出来ません。

Q:同じ日に同じ病院を2回受診(同日受診)した場合、1回目と2回目それぞれの受診で、外来管理加算を算定出来ますか?
A:外来管理加算を算定出来ない診療行為を行っておらず、それぞれの受診に於いて必要な医学管理をしていれば、2回とも算定する事が出来ます。

 

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