222 社会医療法人博愛会 相良病院(鹿児島県鹿児島市)
地域に根差したランドマーク・ホスピタル
乳癌治療を始め、女性の為の先進医療に幅広く取り組み、包括的なケアを推し進めている相良病院。1973年に九州で初めてマンモグラフィを導入して以来、予防、健診から診断、治療、術後サポート、緩和ケア迄一貫した医療体制を実現し、様々な病状へ縦断的に対応して来た。又、乳腺診療、甲状腺診療、婦人科、健診センター等を備えて、女性に向けた医療に多方面から取り組んでいる。2014年には国内で初めて乳癌領域に於ける「特定領域がん診療連携拠点病院」として認定された。グローバルレベルでの知識交流や臨床研究も行われている。更に、診療圏が広大な上、県人口の3分の2が鹿児島市外に暮らす鹿児島県に於いて、専門性の高い乳腺診療を広く行う為に「へき地医療拠点病院」として離島への医師派遣等を実施し地域医療にも貢献している。
創立70周年記念事業として新病院の建設に着手。併せて隣接した松原神社とも開発を行った。医療施設と神社の一体開発は国内初だ。桜島や神社等の豊かな周辺環境を景観に取り込み、病院全体を癒しの空間として再構築した。鹿児島をイメージする墨色の他、桜鼠、檜皮色といった日本の伝統色を用い、「和」が感じられ、地域にも馴染む外観を演出した。曲線を活かし、表通りと病院、神社とを行き来出来る動線で人々を迎え入れ、神社の場所性の再生と街区の活性化を目指した。
院内は土地の魅力を活かしながら癒しの空間作りがなされた。意匠には「てご」等、鹿児島の伝統的な文化が用いられている。ランドスケープを取り入れる工夫が随所に見られ、待合のスペースは、術前は患者の不安が和らぐよう松原神社の静寂な景色を望み、術後は患者が前向きな気持ちになれるよう、パース通りに開けた桜島の景色を望む。病院全体の照明は、医療機能として明かりを灯すだけでなく、光によって心と体を癒す「光治」の考え方に基づき計画され、自然やランドスケープの美しさと相まって患者を和ませる。
鹿児島の風土と景観を活かし、神社や自然の緑を取り込みながら、精巧に設計された癒やしの環境で、相良病院は今日も地域に根差した医療に貢献している。
社会医療法人博愛会相良病院
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