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未来の会

第46回 次の幹部人事で注目される「伊原氏の去就」

第46回 次の幹部人事で注目される「伊原氏の去就」
伊原和人・政策統括官

 秋にも行われる厚生労働省の幹部人事でその異動先に注目が集まっているのが、伊原和人・政策統括官だ。「社会保障制度改革」を取り仕切る部門の責任者として、長くそのポストを務めてきたからだ。伊原氏はこのまま留任するのか、はたまたどこかに異動するのか、その場合の後任は誰が務めるのか——。

 伊原氏は愛知・旭丘高校、東京大学法学部を卒業後、1987年に旧厚生省に入省。大臣官房政策課や薬務局、保険局を歴任し、94年には介護保険創設に向けて新設された「高齢者介護対策本部」に抜てきされた。課長補佐ながら厚生官僚として名を馳せた山崎史郎・元社会・援護局長や香取照幸・元雇用均等・児童家庭局長、唐沢剛・元保険局長とともに仕事をし、社会保障のイロハを学んだ。

 伊原氏は当時を振り返り、「毎日侃々諤々の議論をして現場に出掛け、前例なき取り組みに挑戦する実践家に学ぶ中で、介護保険の形を作ってきた」と話す。

 その後、内閣官房参事官として官邸に勤務して福田康夫首相(当時)を支え、厚労省に戻ると健康局総務課長や年金管理審議官、医療介護連携担当の大臣官房審議官等を歴任。18年7月から総合政策・社会保障担当の大臣官房審議官という新設ポストで事実上の「政策統括官」として辣腕を振るい、盟友関係だった鈴木俊彦・事務次官(当時)とともに全世代型社会保障を仕掛けた。

 その全世代型社会保障を取りまとめる過程では、独断専行しようとする新原浩朗・経済産業省経済産業政策局長に「対抗」する存在としてやり合う場面もあった。

 伊原氏といえば、省内きっての「政策通」として知られる。医療や介護、年金、労働の各制度に精通している他、障害福祉分野でも現場で支援する人達からの信頼は厚い。幅広い知識と政策への深い理解力から部局を横断するポストに勤務する事が多く、今のポストも審議官時代を含めれば3年が経過する。異動するタイミングに差し掛かっているが、伊原氏は出生数80万人割れが目前に迫る中、少子化対策を中心とした「ポスト全世代型社会保障」を再び仕掛けようとしており、伊原氏の異動がこの改革の行方を左右しかねない。

 一方、中堅・若手からは別の意味で注目されている。伊原氏はワーカホリックとしても知られ、新型コロナウイルス感染症が流行する以前は、夜間に皇居周辺をランニングしてから打ち合わせを行う事もしばしばあった。

 ある中堅職員は「伊原さんの下に付くと長時間労働になりがち。いろいろな事を知っているので指示はたくさん飛んでくるが、思い付きのものも多く、付いていくのが大変だ」とこぼす。今はそうした「皇居ラン」はコロナで自粛しているとはいえ、「幾分かは楽になったが、相変わらず仕事量は多い」(別の職員)という嘆きも聞こえる。

 各省庁に名をとどろかせる数少ない「名物官僚」の1人ともいえる存在となった伊原氏。「いろいろ発想する割にはまとめる力に乏しい」(中堅キャリア)という批判も付きまとうが、社会保障制度の行方に注目する人の間で、その異動先が隠れた注目点である事だけは間違いない。

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