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未来の会

第30回 厚労省の屋台骨支える共通採用1期生

第30回 厚労省の屋台骨支える共通採用1期生
野﨑伸一・大臣官房総務課広報室長

 2001年の省庁再編で誕生した厚生労働省。1999年に厚生省と労働省それぞれの採用を辞め、一足先に共通採用を開始している。その「1期生」は既に室長級の管理職に登用され始め、厚労省の屋台骨を担っている。「ヒラメ官僚ではなく、あるべき姿のために戦う官僚が多い」(若手キャリア)と評判だ。

 ある人事課勤務経験者は採用について、「厚労省は幅広い政策を担っているので、人材も多様にするよう心掛けており、1期生はその意味で象徴的だ」と話す。出身大学も、東京大や京都大の他、一橋大、神戸大、九州大、慶応大、早稲田大と多様だ。若手時代は厚生、労働分野の各部署に配属されるが、その後は本人の意向も踏まえ、次第に専門分野を深めていくようにしているのも共通採用以降の特徴だ。

 共通採用組1期生の筆頭格は、野﨑伸一・大臣官房総務課広報室長だろう。京都大総合人間学部卒業後に入省し、医政局総務課や南カリフォルニア大学への留学を経て、社会保障担当参事官室室長補佐等を歴任。18年夏から社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室長に登用され、19年夏から「厚生系の出世の登竜門」とされる広報室長に抜擢されている。ある中堅キャリアは「旧厚生畑が長く、政策マンを自負し、障害者や高齢者ら生活困窮者が生きやすい社会の実現が彼のライフワーク」と明かす。現在は、新型コロナウイルスによる政府政策を国民に発信するという難題に直面し、真価が問われている。

 かつて取り上げた山口正行・厚労相秘書官もこの世代だ。東京大法学部を卒業して入省、雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課課長補佐や社会・援護局障害児・発達障害者支援室長等を経て、昨年9月の内閣改造で加藤勝信・厚労相再任に伴って現職に。課長補佐時代に手掛けた育児・介護休業法の改正やイクメンプロジェクトに携わったとして有名だ。ある若手キャリアは「迅速に判断してくれるタイプで仕事はしやすい」と評価は高い。

 女性で注目されるのが、河村のり子・大臣官房人事課調査官だ。早稲田大法学部出身で、医政局や職業安定局等を経て、内閣官房働き方改革推進室企画官等を歴任した。女性の活躍や働き方改革の推進に尽力しながら、育児休業を2回取得する等、「仕事と家庭を両立させている」(女性ノンキャリ)。ただ、省内では「やや上昇志向が強い」という声も。派遣・有期労働対策部企画課時代は課長だった岸本武史・大臣官房審議官(90年、旧労働省)と衝突したが、塩崎恭久・元厚労相には気に入られ、大臣レクで河村氏が不在だと塩崎氏が「なぜ河村のり子はいないのか」と漏らしたという逸話もある。山口・河村両氏は労働色が強めだ。

 この他、東京大法学部卒で国会連絡室長や老健局総務課企画官等を歴任した川口俊徳・経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループヘルスケア産業担当企画官、東京大法学部卒で保険局総務課課長補佐等を務めた高宮裕介・政策統括官付社会保障財政企画官らも評判が良い。

 若手キャリアの1人は「この世代はバランス感覚もあり、いかに効率良く、最大のパフォーマンスを出せるかに注力している」と期待を寄せる。幹部人事は厚生、労働で縄張り争いをしているが、共通採用組が幹部になれば悪弊もなくなるだろう。

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