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電話医療通訳を普及させることで 医療機関の外国人対応力を強化

電話医療通訳を普及させることで 医療機関の外国人対応力を強化
澤田真弓(さわだ・まゆみ)1983年愛知県生まれ。東京外国語大学外国語学部欧米第一課程英語専攻卒業。北京大学漢語進修プログラム修了。インペリアルカレッジロンドンにて、経営学修士号取得。帰国後、グーグル株式会社を経て、JIGHに参画。組織の基盤構築を進めるとともに、2014年遠隔医療通訳サービス「mediPhone(メディフォン)」を立ち上げる。

外国人患者が急増していることで、それを受け入れる医療機関では様々な問題が生じている。言葉の壁で診療が行えない場合もあるし、未払いなど医療費を巡るトラブルも重大な問題になっている。こうした状況を改善するため、ジェイ・アイ・ジー・エイチ(JIGH)は医療機関の外国人患者対応力向上に取り組んできた。電話による医療通訳サービスの提供など、今後さらに普及することが期待されている。

——JIGHが医療通訳サービスを提供するようになった理由を教えてください。

澤田 皆が困っていたからです。医療者は外国人患者に対して問診ができなくて困っていました。外国人患者は言葉が伝えられなくて困っていました。医療通訳者の多くはボランティアだったりして、他のことで生計を立てながらやっていました。こうした状況を何とかするためには、仕組み作りを進めようと考えました。医療通訳者は数が少ないながらも既に存在していたので、あとは仕組みさえ作ればいいと思ったのです。こうして遠隔医療通訳サービスの「メディフォン」を立ち上げたのが、2014年でした。東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まったのは、その前年のことです。これで風向きが一気に変わり、外国人に対する医療に関して、国が環境整備をしていこうという流れになってきました。

——以前は医療通訳のシステムに問題があったのですか。

澤田 前述のように多くの医療通訳者が、ボランティアで通訳をしながら、週末に勉強会をしたりしてスキルを磨いていました。そういう善意に支えられていたわけです。やり方も、通訳の方が現場の医療機関に出向いて行き、通訳して帰る、という対面式のやり方が主流でした。これだと移動に時間がかかりますし、事前に予約する必要があるので、救急の現場などには対応できません。そうしたことを考えると、遠隔医療通訳という方法でやるしかないという結論になります。現在、この方法で行っているわけですが、事前の予約も必要ありませんし、外国人の患者さんが来た時に、電話などで必要な言語の医療通訳が介入できるようになっています。

——遠隔医療通訳では電話を使うのですか。

澤田 電話で話すか、あるいはオンラインで繋いでタブレットで相手の映像を見ながら話します。これらの方法なら医療通訳者が移動する必要がなく、どんなに遠くの医療機関でも問題ありません。現在、英語、中国語、韓国語、ベトナム語、ロシア語、スペイン語、ポルトガル語、タイ語、タガログ語、フランス語、ヒンディー語、モンゴル語、インドネシア語、ネパール語、ペルシア語、ミャンマー語、広東語の17言語に対応しています。

——メディフォンの事業を展開する上で苦労したのはどんな点ですか。

澤田 専門性が高くて優秀な医療通訳の方を確保することですね。言語数を増やすのも大変で、英語や中国語の通訳は見つかるのですが、ベトナム語やヒンディー語は苦労しました。

——医療通訳サービスは外国にもあるのですか。

澤田 あります。海外では、国でやっているところもあれば、民間でやっているところもありますが、遠隔でのサービス提供が主流になっています。たとえば、イギリス、スウェーデン、オーストラリアの3カ国は、国が無料で医療通訳サービスを提供していて、イギリスは128言語、オーストラリアは170言語に対応しています。

——そんなに言語数が多いのですか。

澤田 全世界には、方言も含めれば6900くらいの言語があるといわれていますからね。私達も、もう少し言語数を増やしていく予定です。今はアラビア語が入っていないので、これはぜひ加えたいと思っています。

必要なのは医療知識と言語スキル

——メディフォンで医療通訳に携わっている人は何人くらいいるのですか。日本人ですか。

澤田 国籍に関しては正確には調べていませんが、全体では36%くらいの人が外国人です。英語に関しては日本人の通訳者が圧倒的に多いのですが、それ以外の言語では外国人通訳者の割合が多くなっています。現在は約300人が登録していて、クラウドソーシングのような形で、その人が働ける状況にある時にメディフォンから依頼があれば、その仕事をマッチングするというやり方で行っています。この仕事を専門にしている人もいますし、副業的な働き方をしている人も少なくありません。例えば、育休中の看護師の方が医療通訳の仕事をしていたりします。


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