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未来の会

第158回 組織ありきの「こども庁」構想に静観の厚労省

第158回 組織ありきの「こども庁」構想に静観の厚労省

 菅義偉政権でにわかに浮上した「こども庁」設置構想。

 鼻息の荒い内閣府と文部科学省が独自の組織案をつくって与党議員への根回しを進める中、幾度となく組織の分割・再編論議に巻き込まれてきた厚生労働省は、静観の構えだ。

 「組織ありき」の議論には醒めているように見える。

 こども庁構想は今年3月、勉強会を重ねてきた自民党若手議員の提言として菅首相に渡された。

 首相は直後の4月5日の参院決算委員会で子どもに関する政策の所管が厚労省、文科省、警察庁、総務省等にまたがると指摘した上で、「縦割り打破、組織のあり方を抜本から考えていく必要がある」と踏み込んだ。

 首相が熱意を見せるようになったのは、山田太郎・自民党参院議員が1月、首相にこども庁の創設私案を示してからだ。

 首相周辺は「子育て世代に支持される」と受け止め、首相も自民党の二階俊博幹事長に総裁直属の機関で検討するよう指示。同党は新組織を4月13日に発足させて議論を始めた。

 政府・与党は6月にまとめる経済財政運営の基本方針「骨太の方針」に素案を反映させ、22年度にこども庁を発足させる意向だ。秋までにある衆院選の公約に含めようとしている。

 同党の閣僚経験者は「新型コロナウイルスで政権の求心力が衰えている。選挙をにらみ、首相お得意の『縦割り打破』を掲げられる政策に飛び付いたのだろう」と話す。

 永田町界隈には早速、「文科省案」「内閣府案」が出回っている。文科省案は文科省の下にこども庁を設置する構想だ。子どもの福祉、保健関連等の業務を移管する一方、義務教育等の根幹部分は本省に残す。

 一方、内閣府案はこども庁を内閣府に新設するものだ。

 所管には2つの案が用意され、文科省所管の幼稚園、厚労省所管の保育園、内閣府所管の認定こども園を集約する1案の他、1案に義務教育もこども庁に取り込む2案がある。

 厚労省周りも、厚労族議員は「財源はこちらで握らないといけない」と文教族らとの綱引きを始めている。

 ただ、歴代政権の浮揚策としてたびたび分割・再編構想の洗礼を受けてきた厚労官僚たちは「もう少し見てみないと、まだどうなるか分からんよ」(幹部)等と突き放す人が少なくない。

 こども関連政策の一元化でネックとなってきたのは、幼稚園と保育園を一本化する幼保一元化だ。常に議題に上りながら、両業界団体や族議員の猛反発でなし崩しになってきた。

 また、仮に義務教育まで一本化するなら、文科省VS内閣府の全面対立になりかねない。

 そんな状況に、自民党幹部からは「組織を先につくり、所管は後から決めてもいい」との声も漏れてくる。

 しかし、組織先行論に厚労省はうんざり気味。厚労族の重鎮、伊吹文明・元衆院議長は4月15日の二階派の会合で「新しい省庁をつくる事まで必要なのか。中央の役所で何かしたからといって、出来るのかなという感じがする」と述べて冷や水を浴びせた。

 関係者の間では「大騒ぎの挙げ句、こども庁は虐待や貧困問題を扱うにとどまるのではないか」との見方も出ている。

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