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未来の会

第5回 保険診療のルール
〜安全で良質な医療の提供を目指して〜

第5回 保険診療のルール〜安全で良質な医療の提供を目指して〜

画像診断管理加算

我が国の国民皆保険制度は、様々なルール(健康保険法等、健康保険法施行令等〈政令〉、療養担当規則〈省令〉、診療報酬点数表〈告示〉、通知等)により司られています。本企画では、保険診療の正しい解釈をお伝えし、保険医による良質な医療の提供と共に、保険医療機関の収益増大の一助となる事を期待しています。

 今回は、画像診断を専ら担当する常勤の医師が画像診断を行い、その結果を文書により報告した場合、月1回に限り算定出来る、「画像診断管理加算」を取り上げます。

 この加算は、平成14年4月版の医科診療報酬点数表の第4部「画像診断」の通則4〜7として初めて収載されました。当初は「加算1」と「加算2」の2種類でしたが、平成30年改定で「加算3(特定機能病院対象)」が追加。更に令和6年改定では、特定機能病院を対象とした「加算3」は「加算4」とされ、「加算3」の算定対象は救命救急センター(三次救急)を有している保険医療機関に変更されました。

 現在の加算点数は、「加算1」:70点、「加算2」:175点、「加算3」:235点、「加算4」:340点とされています。但し、他の医療機関に読影又は診断を委託した場合、算定出来ない事には注意して下さい(「第1回 B009 診療情報提供料(Ⅰ)250点」参照)。

 令和6年の通知より、「加算2」、「加算3」、「加算4」の主な施設基準等をご紹介します。算定の可否に直結する重要な要件ですので、ご自身の医療機関の状況と照らし合わせて確認しておきましょう。

「加算2」に関する施設基準

(1)放射線科を標榜している保険医療機関であること。

(2)画像診断を専ら担当する常勤の医師(専ら画像診断を担当した経験を10年以上有するもの又は当該療養について関係学会から示されている2年以上の所定の研修(専ら放射線診断に関するものとし、画像診断、Interventional Radiology(IVR)及び核医学に関する事項を全て含むものであること。)を修了し、その旨が登録されている医師に限る。)が1名以上配置されていること。なお、画像診断を専ら担当する医師とは、勤務時間の大部分において画像情報の撮影又は読影に携わっている者をいう。

(3)当該保険医療機関において実施される全ての核医学診断、CT撮影及びMRI撮影について、(2)に規定する医師の下に画像情報の管理が行われていること。

(4)
当該保険医療機関における核医学診断及びコンピューター断層診断のうち、少なくとも8割以上の読影結果が、(2)に規定する医師により遅くとも撮影日の翌診療日までに当該患者の診療を担当する医師に報告されていること。

(5)画像診断管理を行うにつき十分な体制が整備されていること。

(6)当該保険医療機関以外の施設に読影又は診断を委託していないこと。

(7)関係学会の定める指針を遵守し、MRI装置の適切な安全管理を行っていること。

「加算3」に関する施設基準

(1)「加算2」の(1)と同様

(2)「救急医療対策事業実施要綱」(昭和52年7月6日医発第692号)に定める第3「救命救急センター」又は第4「高度救命救急センター」を設置している保険医療機関であること。

(3)画像診断を専ら担当する常勤の医師(※「常勤の医師」の要件は「加算2」の(2)を参照)が3名以上配置されていること。なお、画像診断を専ら担当する医師とは、勤務時間の大部分において画像情報の撮影又は読影に携わっている者をいう。

(4)当該保険医療機関において実施される全ての核医学診断、CT撮影及びMRI撮影について、(3)に規定する医師の下に画像情報の管理が行われていること。

(5)当該保険医療機関における核医学診断及びコンピューター断層診断のうち、少なくとも8割以上の読影結果が、(3)に規定する医師により遅くとも撮影日の翌診療日までに当該患者の診療を担当する医師に報告されていること。

(6)当該保険医療機関において、関係学会の定める指針に基づく夜間及び休日の読影体制が整備されていること。

(7)「加算2」の(5)と同様

(8)「加算2」の(6)と同様

(9)「加算2」の(7)と同様

(10)
関係学会の定める指針に基づいて、人工知能関連技術が活用された画像診断補助ソフトウェアの適切な安全管理を行っていること。その際、画像診断を専ら担当する常勤の医師(※「常勤の医師」の要件は「加算2」の(2)を参照)が責任者として配置されていること。

「加算4」に関する施設基準

(1)放射線科を標榜している特定機能病院であること。

(2)画像診断を専ら担当する常勤の医師(※「常勤の医師」の要件は「加算2」の(2)を参照)が6名以上配置されていること。なお、画像診断を専ら担当する医師とは、勤務時間の大部分において画像情報の撮影又は読影に携わっている者をいう。

(3)当該保険医療機関において実施される全ての核医学診断、CT撮影及びMRI撮影について、(2)に規定する医師の下に画像情報の管理が行われていること。

(4)当該保険医療機関における核医学診断及びコンピューター断層診断のうち、少なくとも8割以上の読影結果が、(2)に規定する医師により遅くとも撮影日の翌診療日までに当該患者の診療を担当する医師に報告されていること。

(5)「加算3」の(6)と同様

(6)画像診断管理を行うにつき十分な体制が整備されており、当該保険医療機関において実施される全ての核医学診断、CT撮影及びMRI撮影について、夜間及び休日を除いて、検査前の画像診断管理を行っていること。

(7)「加算2」の(6)と同様

(8)「加算2」の(7)と同様

(9)関係学会の定める指針に基づいて、適切な被ばく線量管理を行っていること。その際、施設内の全てのCT検査の線量情報を電子的に記録し、患者単位及び検査プロトコル単位で集計・管理の上、被ばく線量の最適化を行っていること。

(10)「加算3」の(10)と同様


Dr.の保険診療 うっかりCheck

遠隔画像診断による画像診断管理加算の算定

Q1:遠隔画像診断を行った場合、画像診断管理加算は「送信側」で算定出来ますか?

A1:はい。送信側の保険医療機関に於いて、撮影料・診断料、及び、画像診断管理加算を算定する事が出来ます。

Q2:送信側が算定要件を満たしていない場合でも、算定出来る事は有りますか?

A2:はい。受信側が画像診断管理加算の算定要件を満たしている場合には、送信側が当該加算を算定する事が可能です。

Q3:受信側の診断等に係る費用は、どの様に取り扱われますか?

A3:受信側・送信側の医療機関間での相互の合議に委ねられます。

Q4:「加算2」、「加算3」、「加算4」の取り扱いの根拠は?

A4:診療報酬点数表の通則7(一部抜粋)に以下のように規定されています:

「遠隔画像診断による画像診断(区分番号E102およびE203に限る。)を通則第6号本文に規定する保険医療機関間で行った場合であって、受信側の保険医療機関が通則第5号の届出を行った保険医療機関であり、当該保険医療機関において画像診断を専ら担当する常勤の医師が、画像診断を行い、その結果を送信側の保険医療機関に文書等により報告した場合は、E102に揚げる画像診断およびE203に揚げる画像診断のそれぞれについて月1回に限り、画像診断管理加算2、画像診断管理加算3又は画像診断管理加算4を算定することができる。」

※ポイント: 遠隔画像診断に於いては、診療報酬の請求主体と画像診断の実施主体が異なる場合が有る為、制度の趣旨と自院の体制を踏まえて、適切な運用を心がけましょう。

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