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未来の会

263 松波総合病院(岐阜県羽島郡)

263 松波総合病院(岐阜県羽島郡)

心身を癒やす、地域に開かれた新拠点
263 松波総合病院(岐阜県羽島郡)

中山道の大宿である加納宿で、1902年に松波病院として開業以来、設立から123年を数える社会医療法人蘇西厚生会松波総合病院。今日では病床数501床、総職員数約1500人を数え、地域がん診療連携拠点病院、救命救急センター、災害拠点病院、地域医療支援病院、がんゲノム医療連携病院として、地域住民の医療を支え続けている。

2025年6月には、地域最大級の人間ドック等の機能を備えた新棟「西館」が竣工。隣接する鎮守の森も景観として活かしたシンプルモダンな外観と、親しみ易く落ち着いた和テイストの内装が美しさの中にも温かみを演出する空間作りで、患者や地域の方々の心と身体に寄り添う医療の実現を目指した。

西館では、1階に最新式の放射線治療機器を導入した放射線治療科を設置した他、地域の方も利用出来るユニバーサル・デザインのカフェや、医療と運動とを融合したメディカル・フィットネス施設、国際基準の柔道畳を敷いた多目的室等を配置。2階の医局は、光を多く取り入れる開放的な空間で、医師の増員にも備えつつ、多診療科連携に対応出来る伝統のワンフロア構造を継承している。3階は健診者を「お客さま」としてお迎えするホテルライクな人間ドックとし、4階には大規模な催事も行える400人収容可能な会議室や人間ドックの宿泊施設を備えた。

新たにこうした施設を導入するに至ったのは、疾病に陥らない健全な心身を作る事も医師を含む医療人の大きな責務と捉え、日常的な運動を推進する事が今後の日本の医療に求められるとの考えからだ。その為、運動療法の実践の場であるフィットネス施設は、医療法42条に準拠した疾病予防運動施設とした。

利用者は、医師が個別に作成した運動処方箋に基づき、理学療法士らによる専門的且つ適切な指導が受けられる為、無理なく運動が続けられる。そして、屋外に加え屋内の仕切りでも使用されているガラス壁が、見る・見られるといった視覚的な繋がりを演出し、利用者同士の一体感が更に健康を増進する様な仕掛けとなっている。

又、同院では今年4月から、日本初の「ペットおあずかりセンター」を、連携する海津市医師会病院では、ペットと共に入院出来る「ウィズペット病棟」の運用を開始した。近年、老若を問わず独居の患者が増え、ペットの飼育者も増加する中、ペットの世話を理由に入院を拒む患者が目立つ様になった事から、入院中の世話や離れて暮らす事への不安を解消。且つ、癒やしを感じながら治療を受けられる様にする為の画期的な取り組みだ。

この他、同院は、以前から地域との共生を大切にしてきた。南館のホワイエでは器楽や声楽による音楽会が定期的に開催され、敷地内では複数の移動販売車が軽食から青物まで販売している。11年には「まちの駅」として登録され、最近では災害時の避難所にも指定されている。同院は、今や診療の場に留まらず、患者や地域の方々が安心し、心身共に癒される空間としての使命を帯び、この挑戦が新しい医療施設の基準を築く第一歩となる事を目指している。


263_松波総合病院(岐阜県羽島群)

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