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未来の会

コロナ禍の患者と医療機関経営の現状が明らかに

コロナ禍の患者と医療機関経営の現状が明らかに
各地の保険医協会が緊急集会で報告

コロナ禍により医療機関の経営が悪化する中、全国保険医団体連合会(保団連)は8月27日、東京・永田町の衆議院第二議員会館で「医師・歯科医師緊急WEB集会」を開催、医療現場の現状を報告するとともに、全ての医療機関への緊急財政措置を求めた。また、公的支援を求める1万人超の署名を国会議員に手渡した。

 保団連が行った緊急アンケートでは、4月・5月の外来患者数や保険診療収入は医科・歯科ともに前年同月に比べて約9割の医療機関で患者数が減少。保険料収入も30%以上減収した医療機関が約3割に及んだ。

 住江憲勇会長は開会の挨拶の中で、国の第2次補正予算による医療機関に対する各種支援金や公金の支払いが遅々として進まない状況を説明。多くの医療機関が経営に破綻を来しかねない状況と指摘した上で、前年度実績に基づく診療報酬の概算払いを求めるとともに、「新規開業を含む全ての医療機関に対し、減収分の補塡や融資の返済猶予、家賃・人件費の補助など、緊急に財政措置を行うこと」を訴えた。

 各地の保険医協会の代表者も発言した。熊本県保険医協会は、「コロナと闘う病院を支援する議員連盟」が8月6日、「赤字診療所への医療版持続化給付金の創設」を提言した事に言及。現在、持続化給付金は医業・介護収益が50%以上減少した事が支給要件になっているが、「ハードルが高く、利用出来ない」と現状を述べた。

 東京保険医協会は「政府は新型コロナ感染者を受け入れた医療機関に対し若干の補助をしたが、焼け石に水。全ての患者に感染の可能性がある以上、受け入れた・受け入れないで区別するのは意味がない。費用↖抑制️の口実にすぎない」と指摘。

 岐阜県保険医協会からは「緊急事態宣言等の影響で、本来受診が必要な患者さんが新型コロナの感染を恐れ、医療機関への受診控えを起こしたため、大きな健康被害が多数発生している」との報告があった。

 具体例として、糖尿病で毎日インスリンを自己注射しなければならなかった患者が受診を控えたため薬が足りなくなり、回数を自己判断で減らして急速に症状が悪化、透析が必要になった。また、新型コロナが怖くてリハビリテーションに通えなくなった患者は急速に筋力低下を起こして転倒、寝たきりに。介護施設では歯科の定期診療を見合わせている間に誤嚥性肺炎が頻発している。

 東京歯科保険医協会は会員アンケートの結果を報告。国や自治体等の助成金や融資等については「受給済み」が持続化給付金で20%、公的融資で17%だったが、雇用調整助成金はわずか3%しかなかった。

 また、国の第2次補正予算で支給される感染拡大防止等支援金、感染症対応従事者慰労金、家賃支援給付金については「検討中」が32〜46%あったが、制度自体の概要や支給対象、申請方法等の詳細が示されないため、「制度を知らない」との回答も多くあった。同協会からは「申請方法の早急な提示や、手続きの簡素化、迅速な給付が求められる」との提言があった。

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