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第102回 スタチン剤の害とガイドライン

第102回 スタチン剤の害とガイドライン

 総合健診では、コレステロール値のみ異常とされる人が少なくない。日本動脈硬化学会ガイドライン(動脈硬化GL)の基準値のためだ。薬のチェックTIP78号(2018年7月)では、日本脂質栄養学会の「長寿のためのコレステロールガイドライン(長寿GL)」と、動脈硬化GLを対比しながら、コレステロール値を下げる必要はないこと、スタチン剤には様々な害作用があることを指摘した1-3)。その概略を紹介する。

「寿命延長」が目標なら低下剤は不要

 数ある診療ガイドライン中、長寿GLは、「寿命の延長」を目標に作られた優れたガイドラインである。長寿GLによれば、多数のエビデンスに基づき、総コレステロール値、LDL-コレステロール値が高めは長寿の指標だ。特に60歳以上では、LDL-コレステロール高値の人の総死亡率は、低値の人の約2分の1であった。従って、スタチン剤などコレステロール低下剤は必要がなく、害を考慮し使用しないよう勧めている。

動脈硬化GLでは成人の40%近くが要治療

 一方、2017年版動脈硬化GLは、総死亡はもとより、心疾患死亡の減少をも目標とせず、LDLコレステロールを薬剤で下げることのみを目標としたガイドラインである。

 他にリスクがなくとも、60歳以上、というだけで、総コレステロール値220以上(LDL-コレステロール値140以上)は治療の対象、65歳未満でも、同240(160)以上は治療対象とされる。

 既にコレステロール低下剤を用いている人と、これらの新たな対象者を含めると、女性では成人人口の42%が低下剤服用対象者になる。そして、薬剤費だけで現在でも3500億円を消費しているが、医療費全体では1兆円をくだらない。動脈硬化GLに従えば、さらにこれらは膨らむ。

スタチン剤は動脈硬化を防止せず、様々な害 

 スタチン剤は、膜構造に必須のコレステロールの不足、ならびに、プレニル中間体から合成される種々の重要な生体物質の不足を招き、細胞毒となり、生体に対して様々な害を及ぼす。

 その結果、抗炎症作用があるものの、感染症を増加し、発がん性がある。

 スタチン剤は動脈硬化を防止せず、むしろ動脈硬化を促進する。また、糖尿病を悪化させる。その機序も、上記の通り明瞭である。

 スタチン剤は筋傷害を起こす。家族性高コレステロール血症のスポーツ選手にスタチン剤を用いると、90%以上で耐えられない。

 スタチン剤は、末梢神経障害だけでなく、中枢神経障害を起こす。中でも筋委縮性側索硬化症(ALS)を発症させることが疫学調査で明瞭である。

 さらに、スタチン剤が、ランダム化比較試験の結果、認知症を誘発することが明らかとなり、これを重視して米国FDAは警告を発している。

結論

 動脈硬化GLに基づく診療では、最も健康な人が病人として毒性の強いスタチン剤が処方される。長寿を目標とした長寿GLに従い、スタチン剤などコレステロール低下剤は使わないようにすれば、無駄な医療費を使わずに健康でかつ長寿を達成できる。


参考文献 
1) 動脈硬化GL批判、薬のチェックTIP、2018: 18(78):76-81  
2) スタチン剤の害、薬のチェックTIP、2018: 18(78):88-90
3) その他参考文献  http://npojip.org/chk_tip/No78-f04.pdf

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