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未来の会

【カナダ】高齢者施設とショールダイス病院

【カナダ】高齢者施設とショールダイス病院
オンタリオ州での高齢者ケア

 カナダでも日本の2025年問題と同様、ベビーブーマー(1946年から1965年頃までに生まれた世代)対策が考えられている。オンタリオ州では現在、高齢者施設の入所待ちの期間は平均134日である。このため、少しでも長く自宅にいてもらおうという取り組みがなされたり、Long Term Careの施設を増やそうとしたりしている。古い施設には4人部屋などもあるが、これを2人部屋や個室にしていく方向もある。

 総じてオンタリオ州では医療や介護費用を増加しようという方向にあるようである。なお、オンタリオ州では高齢者施設の料金が一律に決められている。高齢者施設には州立や私立があるが、州立の方がスタッフの給与は高い。

 さらに、シニアハウスの隣にコンドパートナーという形を作り、購入する家であるが、賃貸であるシニアハウスと同じようなサービスが受けられる施設を作ろうという取り組みが行われている。また、多文化共生のカナダの状況を反映し、高齢者施設において海外の介護関連資格の取得者の勤務を認める方向に動いているという。

 オンタリオ州でも日本の地域包括ケアと同じような取り組みが始まっている。それはLong Term Care Plusという考え方に基づいている。一番のポイントは考え方の変化、すなわち在宅でなるだけ長く生活するといった文化の変化である。

 具体的には六つの視点でLong Term Careを考えている。最も重要なものが今述べた考え方、すなわち文化の変化になる。他の五つの視点は亜急性期のケアの提供、シームレスな専門性の高いサービスの提供、ハブの存在、統合されたケア、自宅で生活できるようなサポートである。 

REKAIセンター

 高齢者施設であるREKAIセンターの例を紹介したい。REKAIセンターは、ハンガリー・ブタペスト病院に勤務していた医師のRekai兄弟が第2次世界大戦後の1948年に、ソ連支配から逃れるためにパリに移り、1950年にカナダ・トロント(オンタリオ州の州都)に移住したことに始まる。

 その時に小さな家を購入し、病院を開設した。当時は、英語の分からない移民達に言語のサポートをしたり、食事も提供したりしていた。年数を経て病床数も増え、1988年には長期ケア機能を持つ非営利ナーシングホームとなった。現在も、この国際性と多様性が特徴となっている。

 今回訪問したWellesley Central Placeは2005年にオープンした。全室個室で自然光を取り入れた明るい環境になっている。両施設合わせて、スタッフ数は327人、入居者数は276人である。入居者中心、教育に焦点を置いたケア、そしてコミュニティー(メンバー)を巻き込んだケアというビジョンに基づいて全てを展開している。

 現在、Sherburne(126床)とWellesley Central Place(156床)の2カ所でホームが運営されているが、Wellesley Central Placeは市街地にある分、Sherburneに対して優位性があり、現在約500人が入所を待っているという。入所者の平均年齢は80〜83歳で、入所期間は平均2年という。

 Wellesley Central Place4階の25床はアルツハイマー患者用に設けられている。写真①に示すように、スルーザールームということで光を使った治療を行っている。これによって、アルツハイマー病の問題行動を防ごうという取り組みが行われている。

 薬剤管理は高齢者施設でも非常に重要なテーマになっている。1週間に1回、プライマリケアの医師が訪問する仕組みになっている。このプライマリケアの医師はかかりつけ医とは異なり、施設が契約している医師である。

ヘルニア専門病院

 ショールダイス病院(写真②)は1945年にエドワード・アール・ショールダイス医師によって設立された、70年以上の歴史を誇るヘルニア手術専門の病院である。世界中から年間約7000人もの患者がヘルニア手術を受けに来る。今まで115カ国の患者が手術を受けている。

 鼠径ヘルニアが約80%、腹壁ヘルニアが約20%で、鼠径ヘルニアに関しては男性の発症率が高く、約10%が両側の手術をするといわれる。

 ショールダイス病院が設立された頃には、鼠径ヘルニアの入院期間は3〜4週間であったが、ショールダイス医師は軍に関係していたため3日入院しただけで軍にすぐ戻れるような手術方式を確立した。現在の平均在院日数は術前が1日、術後が3日、両側の2カ所を手術する場合は術後が6日間ということになる。

 外科医が10人おり、手術は年間約7000件行っている。ちなみに、世界では年間約2000万件のヘルニアの手術が行われているというが、ショールダイス病院では今まで約38万5000件の手術をこなしているという。

 また、オンタリオ州のヘルニアの手術数は年間約2万5000件で、米国は約80万件だというので、いかにこの病院の手術数が多いのかが分かる。米国からの患者は年に200人ほどである。以前はショールダイス病院での手術がメディケア(公的医療保険制度)の償還対象だったため、もっと多くの患者がアメリカから来ていたようだ。

 ショールダイス病院で働いている医師の勤務年数は非常に長いという。医師のQOL(生活の質)も非常に高いと考えられる。

 この病院は米国ハーバード大学のハーバード・ビジネス・スクールのケースにも取り上げられる病院であるので、次回に詳述する。

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