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未来の会

第191回 ◉ 浜六郎の臨床副作用ノート
肺炎球菌ワクチンは死亡を増やす

第191回 ◉ 浜六郎の臨床副作用ノート肺炎球菌ワクチンは死亡を増やす

 2023年4月から相次いで3種類の肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)が販売開始になった。15価バクニュバンス®と20価プレベナー20®の2剤は小児と高齢者用、21価のキャップバックス®は高齢者用である。これら3剤に、高齢者への定期接種用となっている23価非結合型(PPV23)のニューモバックスNP®を加えると、肺炎球菌ワクチンは現在合計4種類ある。薬のチェック123号1)で、これら肺炎球菌ワクチンの効力と害について批判的に吟味したので、概要を紹介する。

4剤とも効力確認RCTなしで承認

 これら肺炎球菌ワクチンの接種の目的は、乳幼児や高齢者など高リスク者の「死亡に至る肺炎球菌感染症の減少」である。ところが、どのワクチンも、その効力と安全性を証明するランダム化比較試験(RCT)なしで承認されてきた。新規3剤は承認後もRCTが実施された痕跡がない。どの製剤も、抗体の上昇と、短期間の害の検討のみで承認されてきている。
 しかし、PPV23や、現在は使われていないが7価や13価結合型肺炎球菌ワクチン(それぞれPCV7, PCV13)あるいは日本では承認されなかった14価非結合型肺炎球菌ワクチン(PPV14)については、承認後にRCTが実施されている。
 そこで、公表されたこれらRCTの結果をもとに効力と害を批判的に吟味し、現在日本で承認されている4剤の効力と害を推測した。

特に高リスク高齢者への影響を検討

 本剤の目的から、より高リスクの人の肺炎死亡と総死亡、肺炎以外の死亡への影響に注目して、これらRCTを検討した。コクラン・レビュー2)を手掛かりに、高リスク者や、主に75歳以上を対象としたRCTを検索した。その結果、肺炎または侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)による死亡(肺炎死亡と略)と、総死亡が報告されたRCTが4試験あった。対象肺炎球菌ワクチンは、PPV23が2件(日本、スペイン)、PPV14が1件、PCV7が1件であった。
肺炎以外による死亡(肺炎外死亡と略)は、総死亡から肺炎死亡を除き計算で求めた。

肺炎死亡に無効、肺炎外死亡が有意に増加

肺炎死亡は半減、倍増、変化なしが混在しメタ解析の結果、結合オッズ比0.96(95%CI:0.55, 1.69)、P=0.7375、 I²=55.5%であった。
総死亡は、有意増加1件を含め3RCTで増加、1件で不変、結合オッズ比1.20(95%CI:1.03, 1.40)、 P=0.0226、 I²=0%であった。
肺炎外死亡は、2試験で有意に増加、増加傾向1、不変1、結合オッズ比1.33(95%CI:1.12, 1.68)、 P=0.0015、 I²=0%であった。

接種30人に1人が肺炎外死亡

リスク差から、死亡のNNTを求めると、肺炎外死亡のNNTは30人、総死亡は37人、マラウイのエイズ患者を対象にしたRCTを除いても、肺炎外死亡のNNTは31人、総死亡は40人であった。平均追跡期間は、2.6年〜2.7年なので、接種後3年以内に、30〜31人に1人が肺炎以外の何らかの病気で死亡し、37〜40人に1人が肺炎も含め、何らかの病気で死亡することになる。
 大部分の観察研究は健康者接種バイアスを考慮していないため信頼できないが、健康者接種バイアスを考慮した観察研究は、肺炎による入院や肺炎による死亡を増やしていた。

実地臨床では

 新製品を含め肺炎球菌ワクチンは特にハイリスク者に害が大きく利益は皆無。死亡を増やすので接種しないように。

参考文献

1)薬のチェック2026: 26(123): 10-15.
2)同Moberley et al. doi:10.1002/14651858.CD000422.pub3.

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