194 お茶の水セルクリニック(東京千代田区)
再生医療特化の整形外科クリニック
JR御茶ノ水駅から徒歩約3分。地域のシンボル「ニコライ堂」の近くに建つオフィスビル内に、お茶の水セルクリニックが6月開院した。名称の「セル(細胞)」が示すように、再生医療の治療を行っている。再生医療の治療を行う医療機関は増えてきているが、再生医療に特化した医療機関はまだ数が少なく、しかも整形外科専門のクリニックはさらに珍しい。
ビルの2階は診療フロアで、3階には「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に則って細胞培養加工室(CPC: Cell Processing Center)を設けている。CPCとは細胞を培養するために必要な清潔度が保たれている専用クリーンルームのこと。CPCを併設している理由について、寺尾友宏院長は「患者様から採取した細胞の培養を外部業者に委託すると、細胞のクオリティーを委託先に依存することになります。再生医療のクリニックだけに、そこは人任せにしたくなかったのです」と話す。
同クリニックは患者から採取した細胞をCPCへすぐに移し、新鮮な状態で細胞培養作業に取りかかる。培養・管理は専任の培養士が最終的な細胞検査まで責任を持って行っている。また、治療方法や患者の体格に合わせて細胞数を算出し培養するので、患者に合った高品質な治療の提供を可能にしているという。
寺尾院長は東京医科大学医学部を卒業後、整形外科医として同大附属病院や東京警察病院に務めていた。マサチューセッツ大学医学部のチャールズ・バカンティ医師が1995年に、マウスの背中にヒトの耳が生えているように見える実験用マウスの写真を載せた論文を発表した。たまたまそれを見た寺尾氏は衝撃を受け、「軟骨や骨を作って移植する時代が来そうだ」と思い、再生医療に興味を持った。最前線を見たいと考え、当時はiPS細胞(人工多能性幹細胞)よりも研究が進んでいたES細胞(胚性幹細胞)の研究で世界トップを走っていた京都大学大学院に2003年に移った。
寺尾院長は1000例近い臨床経験と整形外科専門医・再生医療認定医としての知識と経験を生かし、同クリニックを開院した。現在、同クリニックで医師を務める齋藤琢・東京大学医学部附属病院整形外科准教授/骨粗鬆症センター長とタッグを組み、より良い治療法の開発を目指している。アカデミアとのコラボレーションも同クリニックの特徴だ。
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