街は生き物。開発・発展が人や金を集める
2020年にオリンピック・パラリンピックの開催地となる東京。大胆なゼロ金利政策による円安効果を背景に、外国人投資家たちの注目が一斉に日本の首都・東京の不動産に集まるようになった。とりわけ中国の富裕層や投資家たちが、観光バスならぬ不動産見学バスを仕立てて都内のマンション物件を買いあさったことはニュースにも取り上げられた。さて、東京のマンションは今も高騰しているのだろうか。そして世界的視野から見た東京の価値とは?
首都圏マンションの平均価格は13年に3年ぶりに上昇して4929万円となった。それが15年にはバブル期の1991年(5900万円)以来の高値を付ける5518万円にまで上昇。この勢いは16年に入ってからも止まらず、5月には5692万円を付けた。価格高騰の理由は先に述べた「海外からの投資」をはじめ、「超低金利」や「消費税導入前の駆け込み需要」さらには「建築コストの増大」などがある。
しかし、ここにきて変調を起こしはじめた。不動産経済研究所が16年8月に発表した首都圏マンションの市場動向によると、7月の発売戸数は3317戸(前年同月比30.7%減)と大幅に落ち込んだ。マンションの契約率は63.3%と、好不調の分かれ目とされる70%を2カ月連続で割り込んだのだ。つまり、あまりにも価格が高騰し、購入検討者が二の足を踏み始めたのだ。もちろん、消費税増税の延期や円高などの市況環境も影響したと考えられる。株価的視点でみれば「踊り場」的状況である。
アベノミクスの成長戦略ではないが、グローバル化する現在、「世界のヒト、モノ、カネ」を日本に引き付けることで、日本の成長につなげていこうとする動きも加速している。政府観光局によると、16年8月の訪日外国人客数は、前年同月比12.8%増の204万9000人と、前月に続き200万人を超え、8月として過去最高となった。
オリンピック開催に向け、東京の都心部ではダイナミズムにその動きを加速する。羽田・成田空港の機能強化にはじまり、山手線の新駅など鉄道・道路の整備、臨海部や都心部などの街の再開発、ホテル・観光などの事業開発など、未来に夢膨らむプロジェクトが目白押しなのだ。
「世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index, GPCI)」は、世界40都市を対象に、70の指標から、その総合力を順位付けたものである。「GPCI-2015」の分野別総合ランキング結果は、第1位がロンドン、第2位がニューヨーク、第3位がパリ、東京は第4位。そもそも東京は都市として魅力が高いのである。
海外の不動産投資に詳しい独立系国際不動産コンサルタントの市川隆久氏は、「街は生き物。進化する速度により、市場は変化する。人が増え、生産が上がる。おのずと物価が上がり、不動産価格も上昇する」という。また、「世界最大級の規模を持ち、都市の運用力に優れ、文化発信基地となる東京の魅力は底堅いというより、さらなる可能性を秘めている」と話す。
短期的な売買によるキャピタルゲイン(土地や有価証券など保有資産の値上がりによる利益)だけでなく、保有する間は賃貸収入によるインカムゲイン(ある資産を保有することで安定的・継続的に受け取ることのできる現金収入)という長期的視点で見れば、安定的に収益が得られ、万一の時は売却できるマンション投資は有効な手段の一つではないだろうか。もちろん、リゾートホテル感覚としての利用や子供らの就学時の住居などとして活用するという手もある。
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