日本の医療・社会保障を救うために
著者は、医療の在り方への鋭い批判で知られる本田宏・NPO法人医療制度研究会副理事長。人口10万人当たりの医師数が全国最下位の埼玉県の済生会栗橋病院で長年診療に当たってきた。還暦を機に36年間務めた外科医を引退、現在は医療と日本再生のため、講演などの情報発信や市民活動を行っている。本書は日ごろの講演で話しきれないことを書き留めてきた雑誌の連載をまとめたもの。なぜ日本では医師数や医療費が先進国最低レベルになってしまったのか。なぜ医療ばかりでなく社会保障、さらには教育予算も先進国最低なのか。日本のどこが問題で、何を変えれば医療や社会保障が充実するのか。自らの経験に加え、崩壊のルーツを明治維新にまで遡り、日本再生の道を考えている。
目次より
第1章 外科医引退、市民運動へ
私が医師になったきっかけ/想像を絶した地方勤務医の生活/先進国最小の医師数、そして「精も根も尽き果てるような働き」/医療再生の機運は高まったものの/外科医引退、市民運動
第2章 諦めずに明らめるために
群盲象をなでるはダメ、全体像を把握せよ/Follow the money、ショック・ドクトリンに騙されるな/温故知新、歴史に学べ/グローバルスタンダードと比較する
第3章 報道の自由度とメディア・リテラシー
報道の自由度とメディア・リテラシー/情報操作の実態/なぜ正論が通らないのか?/考えさせない日本の教育
第4章 日本の社会保障が充実しない理由
不平等が前提?「世界の多様性」に見る日本の特殊性/社会保障充実を阻む? 日本人の国民性/社会保障充実のためにどうする
第5章 社会保障財源獲得は可能か
日本の社会保障と公共事業予算/止まらない大型公共事業の実態/社会保障財源獲得のために