
旧厚生省に入省当時から「将来の事務次官候補」と呼ばれている官僚がいる。1997年入省の水谷忠由医政局総務課長だ。若手時代から能力の高さを買われ、貫禄ある風貌から評価が高かったという。水谷氏の同期には優秀な人材も揃っており、97年組の「現在地」を振り返りたい。
東京都出身の水谷氏は東京・開成高校を卒業後、東京大学法学部に進学。旧厚生省に入った。認知症施策推進室長や総括調整担当の大臣官房参事官、保険局医療介護連携政策課長、医政局医薬産業振興・医療情報企画課長等を経て現職に。優秀な若手職員が派遣される在米国日本大使館勤務の経験者でもある。厚労省の或る職員は「若手時代から仕事を覚えるのが早かった。それに加えて視野が広く、課長や局長が見ている様な視点を持っていた」と振り返る。
水谷氏の経歴上、触れない訳にはいかないのが加藤勝信前財務大臣ら政治家との関わりだ。加藤氏が初めて厚生労働大臣に就任した際、大臣秘書官に抜擢された。その後、官房長官秘書官に引き続き指名される等、加藤氏からの信任は厚い。大手紙記者は「秘書官の職を離れても厚労省絡みの案件が有れば、加藤氏の会館事務所は水谷さんに『いの一番』に連絡している。その関係も有ってか水谷さんも会館事務所によく出入りしていた」と明かす。
既に政界を引退した根本匠元厚労大臣からも信頼されていた。根本氏は加藤氏の後任で大臣秘書官の座は同期の本後健氏に譲ったが、大臣官房参事官になり「3人目の事務秘書官」(或る厚労省幹部)として大臣官房周りの調整業務を取り仕切った。前述の記者は「とにかく気が利く。そこら辺が政治家から信頼される所以だろう」と分析する。現在は医政局総務課長だが、来夏以降の幹部人事で会計や総務など官房課長への就任が視野に入ると見られる。
水谷氏の同期は各局の総務課長を務める年次だ。老健局の江口満総務課長もその1人。九州大学法学部を卒業した江口氏は、社会保障財政企画官や大臣官房総務課企画官、内閣総務官室付の内閣官房内閣参事官、保険局保健課長等を歴任。年金や医療、少子化対策等、幅広い部局を経験し、社会保障制度の各分野に詳しい。厚労省関係者の1人は「旧優生保護法の補償問題等、政治が絡む難しい案件でも粘り強く対応していた印象が有る」と評価する。
年金局の山下護総務課長も同期。東京大学教育学部を卒業した山下氏は、年金局総務課企画官や保険局医療介護連携政策課長、内閣官房副長官補付の内閣官房内閣参事官、保険局保険課長、こども家庭庁支援局総務課長等を歴任した。年金や医療に詳しく、「アイデア豊富な政策マン」(厚労省関係者)との評判だ。
東京大学法学部を卒業した医薬局の笹子宗一郎総務課長も同期で、保険局国民健康保険課長や老健局認知症施策・地域介護推進課長等も歴任した。
総務課長ではないが、前述の本後氏は人事担当の大臣官房参事官を務める。人事課長は旧厚生系と旧労働系で襷掛け人事の為、来夏の幹部人事で本後氏が人事課長に昇任するのは既定路線だ。東京大学法学部卒の本後氏は社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室長や保険局高齢者医療課長、社会・援護局障害保健福祉部企画課長等を経験している。
既に省を去ったが、豊田真由子元衆院議員もこの年代だ。老健局課長補佐に加え、文部科学大臣政務官、復興大臣政務官等を務めた。
各局の総務課長を務める97年組は、来夏には大臣官房の主要な課長ポストを占める様になると見られる。今後も厚労行政に於いて、その動向には注目が集まる。


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