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第6回 女性官僚に厚労省が支配される時代が来る?

第6回 女性官僚に厚労省が支配される時代が来る?

 霞が関全体で女性官僚の採用割合が高まっているが、厚生労働省でも同様の傾向にある。職員数では約3割を占め、近年のキャリア官僚の採用では4割は超える。加藤勝信厚労相は女性登用に積極的で、省内では「村木厚子氏以来の女性事務次官が誕生する日も近いのでは」と囁かれ始めた。

 昨年1月時点の男女割合は男性が71%、女性は29%。少しずつだが比率は縮まっており、「女性の採用数を増やしている」(人事課)という。ノンキャリだと採用の半数が女性という年もある。

 旧労働省は婦人少年局や女性局という男女雇用機会均等や女性活躍を後押しする部署を抱えており、女性官僚の採用数は多かった。ある労働官僚は「男女雇用機会均等法がなかった時代は、大企業に入れなかった優秀な女性が労働省に入ってきた。採用の3分の1を女性が占める年もあった」と明かす。女性局長も女性官僚の「指定席」で、1997年に女性初の事務次官となった松原亘子氏は女性局になる前の婦人局長を歴任した。

 現在、局長級(技官を除く)は安藤よし子・人材開発統括官(82年、旧労働省)、由美子・社会・援護局長(84年、同)の2人のみだが、審議官級になるとその数は増える。主な幹部では、医療保険担当の渡辺由美子・大臣官房審議官(88年、旧厚生省)、皇太子妃候補にもなったとされる山本麻里・子ども家庭局審議官(87年、同)、政策統括官室の本多則恵・総合政策・政策評価審議官(87年、旧労働省)らが名を連ねる。

 局長級では定塚氏に注目が集まる。男女共同参画や子育て支援関係の部署が長く、労働官僚の本流の労働基準局や職業安定局に配属された経験は乏しいものの、「女性活躍の流れに乗れば、事務次官クラスになる可能性も十分にある」(ベテラン労働官僚)という嫉妬も混じった意見が省内では聞こえてくる。今国会で成立を目指す生活保護法改正案の行方がその試金石になりそうだ。

 審議官級では、渡辺氏の評価が頭一つ抜けている。定塚氏と対照的に厚生官僚の本流である医療や介護保険分野で頭角を現し、診療報酬改定を幾度も経験した。今回の診療・介護報酬同時改定も審議官として財務省主計局の阿久澤孝主計官と渡り合い、本体部分で前回を上回るプラス改定率を勝ち取った。閣僚経験のある自民党厚労族は「ポイントを抑えていて、根回しもうまい」と絶賛する。渡辺氏については「旧厚生省出身者として初めての女性事務次官になるだろう」(省幹部)との呼び声が高い。

 加藤厚労相は女性登用に熱心で、就任時、「2人いる事務秘書官のうち、どちらかは女性にするように」との指示を内々で出している。その結果、起用されたのが、労働担当の佐々木菜々子秘書官(96年、旧労働省)だ。この他の中堅・若手では、内閣官房の東京五輪・パラリンピック推進本部に出向している千奈美企画官(97年、旧労働省)、老健局介護保険計画課の芝真理子課長補佐(2006年)らの評判が高い。

 「そのうち女性官僚に支配される」。男性官僚からはこんなぼやきが聞こえてきそうだが、少しずつ現実味を帯びているのは間違いない。

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