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未来の会

第6回 保険診療のルール
〜安全で良質な医療の提供を目指して〜

第6回 保険診療のルール〜安全で良質な医療の提供を目指して〜

救急医療管理加算

我が国の国民皆保険制度は、様々なルール(健康保険法等、健康保険法施行令等〈政令〉、療養担当規則〈省令〉、診療報酬点数表〈告示〉、通知等)により司られています。本企画は、保険診療の正しい解釈をお伝えし、保険医療機関の「安全で良質な医療」の提供と共に、収益増大の一助となる事を期待しています。


 今回は「A205 救急医療管理加算1(1050点)、及び加算2(420点)」を取り上げます。

 この加算は、平成12年4月版診療報酬点数表の第1章基本診療料第2部入院料等第2節入院基本料療加算のA205救急医療管理加算・乳幼児救急医療管理加算の1救急医療管理加算(600点)として、初めて保険収載されました。平成26年4月には、救急医療管理加算1(800点)、及び、1に準ずる重篤な状態にあって、医師が診察の結果、緊急に入院が必要であると認めた重症患者を対象に救急医療管理加算2(400点)が設けられ、現在に至っています。

【告示】
注1 救急医療管理加算は、地域における救急医療体制の計画的な整備のため、入院可能な診療応需の態勢を確保する保険医療機関であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、当該態勢を確保している日に救急医療を受け、緊急に入院を必要とする重症患者として入院した患者(省略)について、当該患者の状態に従い、入院した日から起算して7日を限度として所定点数に加算する。ただし、別に厚生労働大臣が定める施設基準に該当する保険医療機関において、救急医療管理加算2を算定する患者については、本文の規定にかかわらず、入院した日から起算して7日を限度として、210点を所定点数に加算する。(注2、注3は省略)

【留意事項】 
(1)救急医療管理加算は、緊急に入院を必要とする重症患者に対して救急医療が行われた場合に、入院した日から起算して7日に限り算定できる。なお、他の保険医療機関に入院中の患者が転院により入院する場合であって、同一傷病により転院前の保険医療機関に入院していた場合には、算定できない。

(3)救急医療管理加算1の対象となる患者は、基本診療料の施設基準の「別表第七の三(以下:別表)」に掲げる状態のうち一から十二のいずれかの状態にあって、医師が診察等の結果、入院時点で重症であり緊急に入院が必要であると認めた重症患者をいい、単なる経過観察で入院させる場合や、入院後の重症化リスクが高いために入院させる場合等、入院時点で重症ではない患者は含まれない。なお、当該加算は、入院時において当該重症患者の状態であれば算定できるものであり、当該加算の算定期間中において継続して当該状態でなくても算定できる。

(4)救急医療管理加算2の対象となる患者は、「別表」の一から十二までに準ずる状態又は十三の状態にあって、(以下は上記(3)と同様の為、省略)

(5)救急医療管理加算1を算定する場合は、以下の内容について、診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

ア 「別表」の一から十二までのうち該当する状態

イ 「別表」の二、三、四、六、七又は八の状態に該当する場合は、それぞれの入院時の状態に係る指標(P/F比は、酸素投与前の値とする。ただし、酸素投与前の測定が困難である場合は、酸素投与後の値である旨及び酸素投与後の値並びに FiO2を記載すること。また、酸素投与前の測定が困難であって、かつ、「別表」の三に掲げる状態であってP/F比400以上の場合は、呼吸不全と判断する根拠となった理学的所見について記載すること。)

ウ 当該重症な状態に対して、入院後3日以内に実施した検査、画像診断、処置又は手術のうち主要なもの

エ 重症患者の状態のうち、「別表」の二に掲げる状態であってJCS(Japan Coma Scale)0の状態、「別表」の三に掲げる状態であってP/F比400以上の状態、「別表」の四に掲げる状態であって NYHAⅠ度の状態、又は「別表」の八に掲げる状態(顔面熱傷若しくは気道熱傷を除く。)であって Burn Index0の状態について、緊急入院が必要であると判断した医学的根拠

(6)救急医療管理加算2を算定する場合は、以下の内容について、診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

ア「別表」の一から十二までに準ずる状態又は十三の状態として該当するもの

イ 「別表」の二、三、四、六、七又は八に準ずる状態に該当する場合は、(以下は上記(5)のイと同様の為、省略)

ウ 上記(5)のウと同様。

エ 重症患者の状態のうち、「別表」の二に掲げる状態に準ずる状態であってJCS(Japan Coma Scale)0の状態、「別表」の三に掲げる状態に準ずる状態であってP/F比400以上の状態、「別表」の四に掲げる状態に準ずる状態であって NYHAⅠ度の状態、又は「別表」の八に掲げる状態に準ずる状態、(顔面熱傷若しくは気道熱傷を除く。)であって Burn Index0の状態について、緊急入院が必要であると判断した医学的根拠

(7)都道府県知事又は指定都市市長の指定する精神科救急医療施設において、緊急に入院を必要とする重症患者(精神疾患であり、入院させなければ医療及び保護を図る上で支障のある状態)に対して救急医療が行われた場合にも算定できる。ただし、A228精神科応急入院施設管理加算又はA227精神科措置入院診療加算を算定した患者については算定できない。なお、精神科救急医療施設の運営については、「精神科救急医療体制整備事業の実施について」(平成20年5月26日障発第0526001号)に従い実施されたい。

(8)加算の起算日となる入院日については、夜間又は休日において入院治療を必要とする重症患者に対して救急医療を提供した日(午前0時から午後12時まで)であって、その旨を地域の行政部門、医師会等の医療関係者及び救急搬送機関等にあらかじめ周知している日(あらかじめ定められた当番日以外の日でもよい。)とする。また、午前0時をまたいで夜間救急医療を提供する場合においては、夜間の救急医療を行った前後2日間とする。なお、当該加算の起算日に行う夜間又は休日の救急医療にあっては、第二次救急医療施設として必要な診療機能及び専用病床を確保するとともに、診療体制として通常の当直体制のほかに重症救急患者の受入れに対応できる医師等を始めとする医療従事者を確保していることとする。

(2)(9)(10)は省略


Dr.の保険診療 うっかりCheck

Q:救急医療管理加算1と2の選択は、どのように判断すればよいですか?
A:判断は医師の裁量によりますが、救急医療管理加算1は「入院時点で重症かつ緊急に入院を要する患者」を対象とします。しかし、入院直後に外出や経口摂取を許可した場合、重症度の定義上、算定に疑義が生じます。加算1を算定する際は、患者の重症度と入院後の指示内容との整合性に十分ご留意ください。

Q:入院後に重篤化する可能性が有る患者を、経過観察目的で入院させた場合は、救急医療管理加算2を算定出来ますか?
A:入院時点で重篤な状態に該当しない患者については、たとえ入院後に悪化の可能性があっても算定対象にはなりません。

Q:「消化器疾患で緊急処置を必要とする重篤な状態」とは、どのような処置を指しますか?
A:J034イレウス用ロングチューブ挿入法、及びJ034-3内視鏡的結腸軸捻転解除術を指します。 

Q:救急医療管理加算2の所定点数(210点)が適用されるのは、どのような場合ですか?
A:当該医療機関において、直近6か月間に救急医療管理加算2を算定した患者の内、「別表」の十三に該当する患者の割合が5割以上となる場合です。

※ 別表第七の三 救急医療管理加算に係る状態

 

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