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活動家陽性で「反ワクチン派」内で一騒動

活動家陽性で「反ワクチン派」内で一騒動

新型コロナで政治的支持伸ばそうとした目論み破綻

世界的アクションスターとして活躍した俳優の千葉真一さんが8月、新型コロナウイルス感染症による肺炎のため死去した。82歳という年齢は新型コロナの死者としては驚く事ではないが、直前まで俳優として活躍する2人の息子と共演する映画の制作を企画していたといい、まさかこんなにも突然、亡くなるとは誰も予想していなかっただろう。

 同じ8月には、落語家の三遊亭多歌介さんの逝去も伝えられた。こちらはまだ54歳。肥満気味で、痛風の持病もあったと伝わるが、それにしても若過ぎる死である。亡くなる4日前に、自身のフェイスブックで「調子が悪い」と綴ってはいたが、まさかそれが死への旅路であったとは思ってもいなかったはずである。

 「第5波では芸能人の感染も目立ったが、死亡が伝えられたのは千葉さんが初めて。国を挙げてワクチン接種を進めていた時期でもあり、2人の接種歴について注目が集まりました」と芸能誌記者は振り返る。

 多歌介さんは50代という年齢から考えて未接種もあり得たが、千葉さんは立派な高齢者で、ワクチン接種の機会はあったはず。ところが、「所属事務所によると、千葉さんはワクチンを接種していなかったといいます。アクションスターだけに体力には自信を持っており、自分には必要ないという考えだったと聞きました」(同)。

反ワクチン派だった三遊亭多歌介さん
新型コロナ感染症のため亡くなった三遊亭多歌介さん

 多歌介さんはどうか。前出の芸能誌記者によると、芸能人のワクチン接種の進みは全体的に遅めだという。「ジャニーズ事務所や吉本興業といった大きな事務所は早い段階で職域接種をしたが、芸能界の大半は小中規模の事務所。仕事内容も他の人に代わりを頼むのが難しいため、接種やその後の副反応に備えて休みを取り辛く、スケジュールが入れにくい」(芸能事務所社員)。そうした業界特有の事情は考慮されるべきだが、多歌介さんの場合はちょっと異なるようだ。

 「実は、多歌介さんは反ワクチンで有名でした。新型コロナの治療薬としてイベルメクチンを推進すべきだとの考えで、PCR検査をするから無症状感染者が増えて医療を逼迫させるのだという持論を強硬に主張していた」と落語関係者が明かす。高座の客は高齢者も多い事から、表立っては「打ちたい人は打てばいい」との立場を示していたが、「持病や肥満等のリスク要因が多いにもかかわらず、自分は打たないと言っていました」(同)。

 実際に、多歌介さんのフェイスブックには「諸悪の根源はPCR検査???? 恐ろしい数の検査をすすめて、無駄な偽陽性、無症状患者を増やして」(8月15日)、「現在2回接種者が感染しています。3回〜4回〜永遠に遺伝子組み換え薬品を体内に接種し続けるなんて〜どこかで歯止めをしないととんでもない事になるのかと不安」(8月18日)、「イベルメクチンを撒けば〜元々重篤率低いインド株はさらに重篤者を出さずにすむ〜(長尾和宏医師のテレビでの発言紹介として)」(8月10日)等と、新型コロナの恐ろしさを矮小化する発言が多く書き込まれている。

 確かにコロナワクチンを接種した後に感染する例(ブレイクスルー感染)は報告されているが、最前線の医師の多くが「ワクチン接種者の重症化は明らかに少ない」としており、ワクチンには一定の効果がある事が示唆される。そもそも、第5波において高齢者の感染が一気に減った理由は、ワクチン以外に考えにくい。

 ワクチン未接種の著名人の死亡、接種率が高い高齢者の感染減少といった現実を前に、さすがに反ワクチン派の勢いも削がれるかと思いきや、「別の意味で勢いが増しているグループがある」との情報がある医師から寄せられた。

 「反コロナ、反ワクチンの活動家といえば、内海聡医師(46歳)が筆頭です。6月には『医師が教える新型コロナワクチンの正体〜本当は怖くない新型コロナウイルスと本当に怖い新型コロナワクチン』という本を出版し、〝信者〟から圧倒的な支持を集めています」(医療関係者)。

 その内容は、これまで反コロナ、反ワクチン派が主張してきた事を総花的に紹介しているだけなので割愛するが、書籍販売サイト「Amazon」では同書に1000件以上のレビューが付いており、ランキングからも売れているのは間違いないようだ。

「内ゲバによる粛清が行われている」

 そんな内海医師を支持するグループには、これまでにも反ワクチン活動をしてきた発信力のある政治家や著名人も多い。その反ワクチングループで一騒動が起きたというのだ。発端は反ワクチンの政治活動家、黒川敦彦氏(43歳)が8月27日に自身の新型コロナ陽性をツイッターで報告したことだ。黒川氏はこれまで国政選挙に2度出馬するも落選。現在は政治団体「つばさの党」の代表として、全国で街頭演説を行っている(もちろんノーマスクだ)。

 10月にはコロナ問題について「10万人デモ」を計画していたが、このデモの呼び掛け人の1人だった内海氏が8月29日、自身のフェイスブックで呼び掛け人の辞退とデモ不参加を明らかにしたのだ。HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの反対運動で名を挙げた東京・日野市議の池田としえ氏ら、反ワクチンの著名人もそろって呼び掛け人を辞退したという。

 なぜか。内海氏の投稿は驚くべき理由を明かす。「理由としましては発起人の一人であるつばさの党の党首黒川敦彦氏が、新型コロナワクチン反対と謳いながら、熱が出たという程度で病院に抗原検査およびPCR検査に行き、陽性になってイベルメクチンを飲んだということがきっかけです。私のSNSや動画を見ている方ならお判りでしょうが、これは新型コロナ問題についてまったく理解や勉強をしていないことを意味しています」。

 内海氏は、黒川氏が売名のために反ワクチン活動を利用したと激しく非難。この様子を、医師で作家の知念実希人氏(42歳)は「内ゲバが生じて、粛清が行われているよう」と評したが、発熱して医療機関にかかった事をここまで非難する医師というのも珍しい。

 反ワクチン派の代表ともいえる内海氏からハシゴを外されてしまった黒川氏らのデモがどうなるかは定かではないが、一連の騒動を見る限り、「反ワクチンの活動家達にはなるべく近づきたくない」と考えるのが一般人の感覚だろう。

 厚生労働省の関係者は「インターネットでの発信や配信を積極的に行う反ワクチン派の主張は、既存メディアに縁遠い若年層にリーチしやすい。重症化しにくく副反応が出やすい若年層は、反ワクチン運動に引きずられてワクチンを忌避する人が多いとみられてきた」と明かす。

 だが、第5波で感染が若年層にも広がり危機感が増した事、ワクチン効果で高齢者の感染が少ない事が明らかになり、若年層でも早くワクチンを打ちたいと考える人が多い事が分かった。いつの世も「反ワクチン派」が消える事はないが、新型コロナで支持を伸ばそうという目論みは敗れたようだ。

反ワクチン活動家の筆頭・内海聡医師
新型コロナの陽性反応が出た黒川敦彦氏

 

 

 

 

 

 

 


 

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