
フジ内部調査報告書とプロアクト法律事務所の評判
「問題点は全て内部調査報告書(以下・報告書)にまとめました」——この一言で説明責任を果たしたかの様に見せる企業が増えているが、報告書の内容は事実なのか? フジテレビが公表した報告書を作成したプロアクト法律事務所について、或るメディア関係者はこう語る。「プロアクトは、今〝企業側に寄り添う報告書〟で人気のようです」。同事務所は、危機管理対応に於いて「傷口を広げず、火種を最小限に収める」構成力に定評が有る様だ。過去に依頼したという某上場会社の法務担当は「『プロアクトに依頼すれば〝会社のトップを守る報告書を作る〟』『不都合な事実を希釈するプロ』との風評が有り依頼したが、事実、その通りだった。トップに致命傷を与える事実を確認したにも拘わらず、報告書にはそれがソフトな内容に書き換えられていた事です。しかし、請求額は半端ではなかった」と話す。
例えば、フジテレビの報告書でも、日枝体制の核心を突いた幹部の証言は報告書には採用されず、責任の所在が曖昧なままだ。組織的問題への言及は緩く、個別対応と研修の強化を促す形で締め括る。確かに問題提起はされている。しかし、その〝矛先〟は鈍い。逆に中居正広氏に全責任を負わせる様な印象を与える内容にも見える。企業側にとっては法的責任を回避しつつ、社会的非難をかわす。「調査しました」「第三者です」「再発防止に努めます」——その3点セットを満たせば、世論の圧力も和らぐだろうと高を括る。こうなると〝作文ビジネス〟でしかない。真相解明よりも、信用回復。事実究明よりも、沈静化を目的とする。しかし、或る法曹関係者は疑問を呈する。「本来、報告書は『不都合な真実』を明らかにするもの。企業の顔色を伺う様な調査を報告書と言えるのか」と喝破する。報告書が「発注主の意向」に沿っているとしたら、それは〝調査〟ではなく〝企業が弁護士事務所に発注する広報資料作成業務の一環〟ではないか。真相解明には、独立した第三者による外部調査報告が必要だろう。
便が大きな価値を持つ可能性、腸内細菌に注目
近い将来、あなたの便が大きな価値を持つ時代がやって来るかも知れない——便に含まれる腸内細菌は個人によって特徴が異なる。それを医療やサプリメントに活かそうという試みが増えている。
サッカー元日本代表の鈴木啓太氏は引退後、選手時代の経験や人脈を生かし、腸内細菌を研究するバイオベンチャーを設立した。鈴木氏はアスリート1000人以上の便を採取し、その研究を元にサプリメントを開発。パフォーマンス向上の為に食事に気を遣い、運動を生業とするスポーツ選手の腸内には酪酸菌が多く含まれる傾向を見つけ、約30種類の菌を配合して一般の人の整腸をサポートするという。
先進医療の分野でも、腸内細菌を活用する取り組みが進んでいる。4月には山形県鶴岡市に、ドナーの便を採取する国内初の「献便」施設がオープンした。この施設は、同市に本社を置く順天堂大学、慶應義塾大学、東京科学大学による大学発ベンチャー企業が運営。健康な人の腸内細菌を潰瘍性大腸炎やがん、パーキンソン病等の病気を抱えている人の腸に移植して治療する腸内細菌叢移植(FMT)や、医薬品の開発に繋げるのが目的だ。
しかし、献便事業には幾つかの課題や懸念の指摘も有る。例えば、FMTの実施後、体重が増加し易くなる等、予期せぬ副作用が報告されており、安全性や長期的な影響については依然注意が必要だ。又、現時点で献便は献血の様に広く社会に認知されておらず、安定して十分な検体を確保するのが難しい面も有る他、ドナー選定の厳格な基準や定期的な健康管理、検査の手間等、ドナー側の負担も無視出来ない課題となっている。検体の多様性や量を確保する為には、社会全体の理解と協力が不可欠だと言える。
一方で、検査で適格なドナーに認定されると、献便1回当たり最大5千円の協力金が支払われるというのも話題だ。貴重な腸内細菌を持っている人の便には、それだけの価値が有るという事でもあり、今後の動向が注目される。
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