
2030年、電子処方箋導入は実現可能か?
厚生労働省が掲げる「2030年迄に全医療機関で電子処方箋導入」の旗振りは、現場では既に綻びを見せている様だ。現状の導入率は病院で1割台、診療所でも2割前後に留まり、設備投資・保守費用・操作教育といった現実的コストが導入を阻んでいる。特に小規模クリニックでは、初期導入費のほか毎月の保守契約やトラブル対応が重荷になり得る点が指摘されている。
技術的側面も課題だ。電子カルテ未導入、スマホやタブレットを業務で使っていない医師が依然として多数存在し、操作習熟に要する人的コストは見逃せない。加えて、患者側の薬変更や在庫不足対応等、紙処方箋では現場で柔軟に処理出来ていたイレギュラーな対応が却って電子化で煩雑化する懸念が有る。薬局との連携フローが整備されなければ、診療の遅延やスタッフ負担の増大を招く恐れも考えられる。
更に、電子化推進の裏には業者の利潤構造を疑う声も根強い。導入支援や保守による継続的収益は業者には魅力であり、制度設計がそれらを利する形になっていないかとの疑念が現場に流れている。実際、或る医療機関関係者は「半額補助の導入費用はベンダーの懐に転がり込み、医療従事者はますます貧困化するだけだ」と辛辣に述べる。
背景には、国が掲げる「医療DX」の存在が在る。データ連携を進める事で医療の質向上を図る狙いだが、現場のコスト構造に配慮しなければ、理念倒れに終わる危険もある。特に地域医療では、電子化より人材確保や報酬見直しを求める声が強い。理想の医療DXは、今や「デジタル負債」の側面さえ感じられる。「2030年目標」は、政策の理想と現場の実情の乖離を如実に示している。医療の安全向上という美名の下に、コスト負担の転嫁と業者利潤が混在する構図——それが現場にとっての現実である。行政はこの〝美しい未来図〟の代償を、誰に支払わせるつもりなのだろうか。
国公立大学医学部&附属病院と業者との癒着
大学病院は、最先端医療の拠点であると同時に、巨額の医療機器や薬剤を導入する巨大市場でもある。医学部教授が持つ購買への影響力は強く、医療機器メーカーや医薬品企業としてはその判断が売り上げを大きく左右する。だからこそ、学術連携や共同研究の名目で過度な接待や金品提供が行われ、不透明な関係が生まれ易い。
しかし忘れてはならないのは、国公立大学の教職員は「みなし公務員」であり、刑法が適用されるという厳然たる事実だ。大学法人化以降も、公費によって運営され、公共性の高い教育・医療を担っている以上、職務に関連した金品の授受は、贈賄罪の成立要件を満たし得る。例え当事者が「学術交流」や「便宜ではない」と主張しても、結果として契約や採用に影響すれば、違法となる可能性は高い。医学部に於ける利害関係は複雑化し、臨床研究から治験に至る迄、教授の一言が数億円単位の利益に直結する。こうした構造が、「囲い込み」「接待漬け」「企業寄りの判断」を生み、倫理観を麻痺させてしまう。慣れ合いの積み重ねが、何時しか犯罪の入り口となる。
実際、過去には大学病院での医療機器購入に絡み、賄賂性の有る金銭供与が摘発された例が複数有る他、豪華な接待や個人的利益が存在したと指摘される事案も、報道ベースで後を絶たない。更に問題なのは、こうした行為が〝暗黙の業界慣行〟として長年放置されてきた点である。又、若手医師にとっては「教授の背中」が唯一の倫理モデルであり、誤った価値観が連鎖してしまう危険が有る。倫理崩壊は、一部の教員の問題に留まらず、未来の医療者の育成環境をも蝕む。大学医学部が社会的使命を果たす為には、接待文化という〝見えない病巣〟へのメスが不可欠である。
今、警視庁捜査2課は、過去の贈収賄事件の際に行った家宅捜査で得た情報を基に、密かに都内超有名大学の教授らによる贈収賄事案の情報を捉えている。それも2件だ。身に覚えの有る教授らにとっては首が寒くなりそうな話だ。クリスマスが始まる前に大ニュースとなるのかも知れない。




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