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未来の会

「薬買います!」怪しい転売業者に注意

「薬買います!」怪しい転売業者に注意
「薬買います!」怪しい転売業者に注意

 全国各地の調剤薬局に、「処方薬を高く買い取ります」と持ち掛ける怪しい業者の存在が話題になっている。

 ツイッターで拡散されたのは、埼玉県川口市の「ラグジャス」なる会社の文書。「全国の調剤薬局の皆様」に、「どこよりも高価買取させて頂きます」と15種類の薬剤を載せた買取強化リストを提示した。目立つ様に太字で書かれているのは、久光製薬の局所鎮痛剤「モーラステープL40‌mg」で、560枚が2万1000円と、薬価の119%で買い取るとしている。

 サイトを見ると、同社は昨年7月に設立され、医薬品販売業の許可番号も掲載。医療用医薬品を買い取るだけでなく、卸売りもしている様だ。サイトにはツイッターで出回ったチラシとは異なる買い取りリストも出ている。

 「つぶれた薬局の在庫を問屋が買い取り転売するという話は聞くが」と眉をひそめるのは、西日本の病院に勤める薬剤師。ツイートには「うちの薬局にも同じものが来た」という反応が有り、前出の薬剤師は「最近は堂々と調剤薬局に買い取りを持ち掛ける業者が居るのか」と呆れ顔だ。

 気になるのは、薬価以上で買い取られた医薬品が何処に行くかだ。「調剤薬局の中には、正規ルートではなくネットで安く売られている医薬品を仕入れる経営者も居ると聞く。安いなら怪しい業者から買う薬局が有ってもおかしくないが、薬価以上の価格で買うメリットは無い」(同)。

 となると、考えられるのが、海外への輸出だ。コロナ禍になる以前は、中国人によるドラッグストアでの医薬品や化粧品の爆買いは日常茶飯事だった。「日本の医薬品は偽薬の可能性が低く、皆保険制度のお陰で海外より安い。需要は有る」と薬局関係者。この会社の事業内容を見ると、医療用医薬品の卸売販売以外は、家具や日用品、建材の輸入販売や輸入代行業務等輸出入に関わる業務が並ぶ。同社が実際に海外転売をしているかは不明だが、許可を得ていればこうした商行為は法律違反ではないが、日本の薬価制度を利用して業者が儲ける図式を野放しにしていて良いのか、行政の対応の甘さに疑問が残る。

それでも全面降伏しないクレベリン

 空間除菌を謳った製品「クレベリン」を販売する大幸薬品(大阪府)が遂に、景品表示法違反を認めた。5月3日、「弊社商品の表示に関するお知らせ」と題したリリースを公表。「空間に浮遊するウイルス・菌・ニオイを除去」「空間のウイルス除去・除菌・消臭にご使用いただけます」等と宣伝して来たクレベリン6製品について、「あたかも室内空間に浮遊するウイルス又は菌が除去又は除菌される効果等が得られるかのように示す表示をしておりました」と謝罪したのだ。

 同社は消費者庁から、「空間除菌」に合理的な根拠は無いとして、表示を止めるよう求める措置命令を出されていた。しかし、これを不服として提訴し、争いは裁判所に持ち込まれた。「東京地裁では消費者庁側の主張が認められ、大幸薬品は高裁まで争った。しかし東京高裁は4月13日、空間除菌を謳う合理的な根拠は無いとして消費者庁の措置命令を認める判決を出したのです」(司法担当記者)。これを受けてついに大幸薬品側が〝全面降伏〟した訳だが、一筋縄では行かないという。

 「措置命令はあくまで広告の指摘であり、性能には問題無いとして、同社は回収や返品対応は行わないと説明している。パッケージを変更し、同種製品の販売を継続する模様だ」(同)もし、この通りであれば、会社の信用を無くすだろう。

 同社がここまで強気に出るのには理由が有る。

 「正露丸で知られる同社だが、今やクレベリンが主力商品。コロナ禍での販売で一気に業績を伸ばしており、クレベリンの売り上げが死活問題なのです」(同)。販売を継続するなら、次こそは科学的根拠に基づいた表示を国民に示すべきだ。

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