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個人情報保護法から守秘義務は一段と徹底に

個人情報保護法から守秘義務は一段と徹底に
個人情報保護法から守秘義務は一段と徹底に

元タレントの中居正広氏と女性のトラブルに端を発したフジテレビの問題で、全容を解明する調査の進展に関わって来るキーワードとして注目された言葉が守秘義務だ。

これは、秘密と個人情報の保持が必要とされる職業に於いて、職務上で知り得た秘密の内容を外部に漏らしてはならないというもの。刑法第134条には「医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する」と規定されており、ここに記載されていない職業も、それぞれの職業に関する法律に定められている。

又、法律で規定されていない職業の場合も、例えば自社の画期的な製品を同業他社に知られない様社員に就業規則等で守秘義務を課す──といったケースが多い。フジテレビの問題では、中居氏と女性の間に示談が成立した事で、双方に守秘義務が生じていたが、第三者委員会が、双方代理人弁護士を通じて守秘義務を解除し、調査への協力を依頼した事で注目された。

一方、刑法の条文にも有る様に、「正当な理由」が有れば、職務上知り得た秘密を開示する事が認められている。何を以て「正当な理由」となるのか──ここが非常に難しい。兵庫県知事のパワハラ問題でも話題となった公益通報もその1つで、組織内の不正行為を知った人が内部告発によって確保される公益と、通報者の守秘義務のどちらが重要であるのかが注目されたが、この線引きが明確になっているとは言い難い。

そして守秘義務は刑法上で明記されている医師を始め医療従事者にとっても重要である。条文に記載されていなくても、看護師は保健師助産師看護師法、理学療法士は理学療法士及び作業療法士法で守秘義務が定められており、医療従事者は全員に課せられた掟であると言っていいだろう。

コロナ禍では以下の様な事例が記憶に新しい。2020年4月に青森県五所川原市で保健所館内の新型コロナウイルス感染者の電子カルテ画像がSNSを通じて外部に流出した。その理由は「注意喚起の為同僚に送った」だったが、善意であってもこれは完全な法律違反。この他にも、USBの紛失等による外部漏洩も多い。個人情報保護法によって、年々プライバシー保護は厳しさを増す方向にあり、悪意が無い場合であろうと、処罰の対象になる可能性が高まっている。守秘義務に関し医療従事者は改めて重要な問題と認識する必要が有りそうだ。

不透明感強い中で業績予想公表に積極的な理由は?

米国による相互関税について、日本に対しては24%とEUの20%を上回る厳しい税率が課された。その直後、日経平均は3万円割れ寸前まで急落。日本企業に対する衝撃の大きさが示された。そこで注目されたのが、新年度以降の業績動向だ。丁度、相互関税の概要が明らかになった直後に3月期決算企業の業績が発表される為、先行きに対する不透明感が強い中、企業がどの様な開示姿勢を取るかが注目されたのである。

20年のコロナ禍の際も「先行きが見通せない」という理由から大半の企業が業績見通しを非開示とし、それを理由に売られる銘柄が目立った。今回の場合も、公表しない企業が増えると予想するアナリストが少なくなかったが、前回の反省も有るのか、上限と下限を設けて発表するケースも有る等、予想に反して積極姿勢が目立ったのである。

1つには、関税率の公表直後からトランプ大統領が柔軟な姿勢を示し、「これ以上、悪くはならない」と企業側が踏んだ事も有るだろう。だが、理由として大きいのは、東証プライム市場の上場基準が当時に比べて厳格化した為、業績を開示せざるを得なくなったのではというもの。理由はどうであれ、投資家にとっては良い話であり、積極的な見通しの開示は、東証や金融当局が目論んだ市場改革が進んでいる事を示す一例となった様である。

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