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第39回 更迭された依田審議官、「パワハラ」許した背景

第39回 更迭された依田審議官、「パワハラ」許した背景
依田泰 大臣官房審議官
依田泰・大臣官房審議官

 ハラスメント対策を世に広める立場の厚生労働省で、またもやハラスメントによる更迭人事が行われた。健康局担当だった依田泰・大臣官房審議官(1989年、旧厚生省)は、2020年11月の人事で年金局担当に振り替えられた。依田氏は以前から「パワハラ」の常習者で、省内からは「遅かれ早かれ、こうした事態になる事は予想されていた」という声が漏れる。夏の幹部人事で適正な人事配置が行われていたのかどうか、幹部の任命責任も問われそうだ。

 依田氏は、大阪教育大附属高平野校舎、京都大経済学部を卒業して、旧厚生省に入省した。近年は、健康局生活衛生課長、年金局総務課長、保険局総務課長、国立がん研究センター理事長特任補佐、内閣官房内閣審議官(子ども家庭局等併任)等、枢要なポストを歴任し、20年8月の幹部人事で健康、生活衛生、アルコール健康障害対策担当の大臣官房審議官に就任したばかりだった。その依田氏に、時期外れな11月に、年金担当を命じる人事が発令された。

 厚労省関係者は「秋の臨時国会で、健康局所管の予防接種法改正案を審議しようとする大事な時期に、部下にパワハラをして潰してしまった。ただでさえ、人手が足りない厚労省、中でも新型コロナ対応の中心となる健康局で、有望な中堅職員を精神的に追い込んだ」と明かす。

 別の職員は「依田審議官のレクは深夜に始まり、日付が変わっても続く事がしばしばあった。特に、細かく厳しい指摘をする『激詰め』をされていたようだ。仕事はそつなくこなす優秀な依田氏だが、一昔前は仕事熱心で済まされても、今のご時世ではそうもいかない。以前から依田氏のパワハラ気質は知られており、忙しい部署に異動すれば、いずれこうなると誰しもが予想していた」と呆れる。

 依田氏がパワハラ気質ながらも「出世」していたのは、鈴木俊彦・前事務次官(83年、旧厚生省)の後ろ盾があったからだ。鈴木氏は依田氏の仕事ぶりを評価し、重要法案や重要案件があった当時の保険局や年金局の総務課長に異動させる等引き立てていた。ある中堅職員は「依田氏は仕事熱心で、ある意味、目的のためなら手段を選ばないタイプ。鈴木氏も詰めるタイプで似た者同士だった」と評する。

 省内では、パワハラやセクハラ等ハラスメント事案は後を絶たない。近年では、吉岡てつを・元九州厚生局長(85年、旧厚生省)が業務を通じて知り合った女性に体を触る等のセクハラをしたとして昨年7月に停職1カ月の懲戒処分を受け、その後辞職したという「事件」があったばかりだ。明るみに出ないだけで幹部によるパワハラやセクハラは枚挙にいとまがない。

 依田氏が抜けた「穴」は各局の審議官で埋めるという「応急措置」が取られているという。あからさまな更迭人事に、当の依田氏も「すっかり大人しくなった」(年金局職員)。「この人事を断行した幹部に責任はないのか」との声も省内からは上がる。20代のキャリア官僚の自己都合退職が2013年度の21人から19年度は87人と急増している。政策立案能力を落とさないためにも有望な若手・中堅職員は必要だ。来年の幹部人事ではこうした「不幸」が起こらない事を望みたい。

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