診療報酬改定をめぐり中医協で「複数科受診」が争点化
2012年度診療報酬・介護報酬の同時改定に向けて議論している中央社会保険医療協議会(中医協)で、医療界を代表する診療側委員と保険者・被保険者を代表する支払い側委員の間で、複数科受診が争点となってきた。1月27日の中医協総会でも、両者の意見は対立した。
現在、同一医療機関で1日に複数の診療科を受診した場合、二つ目の診療科の初診に限り半額の算定(135点)が認められ、三つ目以降の初診料は算定できない。初診の患者に対する手間と時間がかかるのは、2科目以降の診療科でも同じであるにもかかわらずだ。また、再診の場合は複数科受診しても1回しか算定できない。
これに対し、病院関係11団体で組織する日本病院団体協議会(日病協)などは、「医師の技術料を無視している」と批判、初・再診料の満額算定を要望している。日病協は、複数科受診で患者に初・再診料を算定した場合の試算を出している。それによると、1年間の増加額は、患者数割合の試算で373億円、病床数の試算で446億円と推計している。
一方、支払い側委員は、患者負担が増えたり、必要のない複数科受診を医療機関が患者に勧める懸念があるなどと反対している。
厚生労働省は、同一日の2科目の再診料を算定できるように見直す提案をしている。
日病協の西澤寛俊議長(全日本病院協会会長)は同日の定例会見で、「医師の技術をしっかり評価してほしい。病院勤務医には肉体的、心理的負担があり、自分の努力が評価されないとモチベーションが下がる。2科目の受診料が患者の負担になるなら、医師が負担の必要性を説明して理解してもらう」と話す。
受診料をめぐっては、「ワンコイン」と呼称され、外来患者に100円の負担を求める受診時定額負担が厚労省から提案されたのは記憶に新しい。高額療養費の自己限度額の見直しに必要な財源として導入が検討されたが、医療界をはじめ民主党内からも反発が強く先送りされた。ワンコインのときは、「ある患者の負担を別の患者に付け替えるようなもの」といった反対意見があったが、複数科受診の初・再診料の算定は「医師の技術を評価する」という筋が通った内容だ。
また、「患者の負担増により受診抑制につながる」という反対意見もあるが、「軽症でも"ついで受診"の患者は多い」(病院関係者)という指摘もある。厚労省が出している「足して2で割る」ような提案ではなく、病院や勤務医を支えるための筋の通った議論をしてもらいたい。
2012年1月27日 21:04 | 中医協・医療・厚生労働省・病院


