寺島薬局 パブリックコメントに「調剤ポイント継続」やらせ意見
保険調剤の一部負担金にポイントを付与する「調剤ポイントサービス」は、厚生労働省が省令を改正して、4月から原則禁止となる予定だ。この件で厚労省が1月末まで募集しているパブリックコメントを逆手にとり、継続を求める意見を業務として社員に応募させているドラッグストアが現れた。株式公開買い付け(TOB)をめぐるインサイダー・株価操縦の疑念を本誌で再三取り上げている寺島薬局である。社員の間からは「やらせ」の声もあり、嫌気をさした薬剤師の中には退職者も出ているという。
パブリックコメントとは、行政機関が政令や省令を決める際、案をあらかじめ公表し、広く国民の意見を募集するもの。
寺島薬局の役員室管理本部長名で1月17日、各部門責任者に通知された「調剤ポイント禁止に関するパブリックコメント募集の件」という業務連絡票には、「従業員としての立場ではなく、あくまで個人(一般市民)の立場で、今回の調剤ポイント禁止について、個人(一般市民)としての意見を提出いただきたい」と書かれ、全従業員への周知を求めている。
ネットの受付画面からの送付方法の指示も細かい。氏名は「個人名を入力(法人名は不要です)」、住所は「自宅の住所を入力」、メールアドレスは「個人のメールアドレスを入力」として、同社の社員であることが分からないように求めている。
担当の厚労省保険局医療課も「パブリックコメントの主旨から外れる」と困惑している。
これに先立ち、昨年12月5日付で社長と役員室管理本部長名で各部門責任者に出された「調剤ポイント付与継続を求める従業員対象の署名活動実施の件」という業務連絡票がある。
この中で、日本チェーンドラッグストア協会が調剤ポイント付与継続の署名活動を実施することを決め、加盟各社に連絡したこと。これを受け、寺島薬局の親会社・ウエルシア関東の持ち株会社であるグローウェルホールディングス(HD)としても従業員対象の署名活動を実施することにしたと書かれている。
対象は嘱託やパートも含めた全従業員で、自分も含めて1人5人以上の署名目標が設けられている。署名方法は「本人の同意が得られれば代筆可、未成年者は署名対象となりません」としている。
これに対し、ある薬剤師は次のように語る。「署名人数が評価対象だった。同じ筆跡だとまずいので、家族、親戚の氏名、住所をそれぞれ違うパート従業員に代筆してもらった。情けなかった」。経営陣は従業員の気持ちを考えたことがあるのだろうか。
署名活動をグローウェルHDのグループ企業で行ったということは、パブリックコメントへの意見応募も寺島薬局だけでなくグループ企業を挙げて行っているのだろう。いずれも業務として従業員に強いている以上、「やらせ」と言われても仕方がない。
調剤ポイントサービスは、調剤併設店を展開する大手ドラッグストアを中心に広がったが、日本薬剤師会などが「実質的には健康保険法が禁じている値引きだ」などと反発。専門家の間でも「ポイントは値引きと会計処理上決まっている」と問題視。厚労省も保険局医療課長名で自粛通達を出したが、守られなかった。このため、厚労省では省令改正により原則禁止にすることにし、昨年11月に中央社会保険医療協議会(中医協)に提案し、了承された。
グローウェルHDの高田隆右社長は1月20日に開いた決算説明会で、調剤ポイントサービスの原則禁止について、「訴訟を否定するものではない」と述べる一方、「その前に止められればベスト」と、パブリックコメントへの意見提出や政治的な働き掛けを示唆したという。社員によるパブリックコメントの意見応募も、その一環なのだろうが、道義的な問題はないのだろうか。
2012年1月24日 19:29 | ウエルシア関東・厚生労働省・寺島薬局・日本チェーンドラッグストア協会・薬剤師会・グローウェルホールディングス


