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武田薬品工業の品行③~松尾・鎌倉市長が松沢知事と長谷川閑史・武田社長の姿勢を否定~

 国会議事堂2個分の威容を誇る武田薬品工業の新研究所。このうち約半分の面積で実験動物の死骸が焼かれ、排水は公共下水道に流される。
 現在、神奈川県の藤沢・鎌倉地区で建設中。だが、落成を来年に控え、地域住民の納得が得られているとは到底言えない異常事態が続いている。
 原因は本誌既報の通り、武田の長谷川閑史社長の一貫した隠蔽・欺瞞体質にある。とにかく説明をしない。隙あらば、隠す、逃げる、居直る。武田の企業風土は一変しまた。では、行政は何をしているのか。今こそ公の出番だろう。
 だが、こうした期待は無残に裏切られつつある。この問題に対する地元自治体の意思は先月号で詳報した神奈川県知事・松沢成文の世迷い言に典型的に現れている。「手続きは法律に基づいているから問題はない」「住民も反対運動をするのなら、法を変えてみろ」「地域の意思の反映は公のすることではない」「あまり騒ぐと、神奈川県に企業が来てくれなくなる」-キーを叩いていてむなしくなるほどの当事者意識の欠如、政治音痴ぶり。ならば、鎌倉市と藤沢市のトップにこの問題について質す必要がある。
鎌倉市長を定例会見で直撃
 本誌は両市の広報課を通じて、7月末、市長定例記者会見への出席を申し込んだ。鎌倉市はさっそく記者クラブの幹事社に話を通し、快諾を得た。以下は会見の席での松尾崇市長とのやり取り。
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昨年12月の議会での採択に基づいて、今年1月、市長は住民とのコミュニケーションの充実を武田に要請された。武田側が説明会を開いたのは5月。しかも、その席では住民側が要望する資料の配布を拒んだり、再度の住民側との対面を拒否したりしている。武田側の対応をどう見ますか。
◇武田さんには住民の方々としっかりコミュニケーションを取って理解を深めていただきたい。誤解を生むということは一番避けなければいけないと思います。その点は十分注意してほしい。
- 現時点で働き掛けの用意はありますか。
◇(何か言いかける)
兵頭芳朗副市長 (すかさず介入)その件も含めて今後武田さんとは協定も結んでいかなければならない。今、住民の方が懸念されていることも含めて、私が副市長の立場で、武田の統括責任者である本社の部長さんにこちらに来ていただいて、そのへんの説明も含めて住民への対応を十分に誠意を持ってやっていただくように要請はさせていただきます。
- 協定の時期は?
兵藤副市長 今のところ、「今年中には」というところで武田さんの方とも協議は進めております。
- この問題について松沢知事は「手続きは法律に基づいている。あんまりうるさいことを言うと企業が来なくなる」とおっしゃっている。市長も住民無視の立場でこの計画を推進しているのか。
◇特に計画についてこれまで何か推進するような行動を取ってきたわけではございません。「うるさいことを言う」というよりも、住民の誤解と不安とはできる限り取り除いていくべき。(近隣住民への)誠意ある対応が望まれる。何か説明を避けたりということは望ましくないと考えます。
- 80億円も使った誘致。投じたお金が果たして地域、あるいは行政に対してどの程度の利益を生むのか見えにくい。住民無視の企業誘致という施策は有効だと市長はお考えになりますか。
◇鎌倉市については、積極的にそういう施策は取ってございません。私どもとしてはあまり積極的な姿勢ではないということです。
- 県がいまだに武田寄りの企業誘致策に固執していることをどう考えますか。
◇......。費用対効果はよく検証しないといけないと思います。
- 検証できる仕組みは現在担保されているか。
◇これまで見ている中では、そのあたりはしっかりと示されていない。浜銀総合研究所が出した数字はあるが、今後、それが適用できるかは慎重に考えていくべきだと考えます。
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 一読してお分かりのように、松尾市長は武田の誠意ある対応を望み、説明を避ける態度を明確に批判している。さらに武田を含む企業誘致には積極的でなく、費用対効果の検証は必要だが、その仕組みがないことも認めた。「法令にのっとってさえいれば、何でもオッケー」と言わんばかりの武田ベッタリの松沢知事とは明らかに一線を画す見解と言える。
 遅きに失した感はあるし、内容も十分とは言えない。ただ、住民意思に沿おうとするかのような対応については一定の評価をしていいだろう。
過労死寸前のスケジュール
 さて、鎌倉市と同時に市長会見出席を申し込んだ藤沢市はどうなったか。こちらも広報課を通じてクラブ幹事社に連絡を取った。だが、加盟社総会で本誌の会見出席は否決されてしまう。
 ならばと、藤沢市に単独会見を申し入れた。だが、秘書課の小野秀樹課長は「事前に質問項目を明らかにしてほしい」「行政として取材にどう応じるかの判断はさせてもらう」「1時間も取れるわけがない」と、できない理由を並べ立てる。
 本誌は質問項目の提示を検閲と判断し、いったんは拒否。だが、問題の性質にかんがみ、譲歩しても取材を実現するメリットはあると考え直し、再度、藤沢市側と接触を持った。藤沢市役所のマイペース過ぎる対応次第でどうなるかは分からないが、次号では顛末をご報告できるはずだ。
 藤沢市長・海老根靖典は2008年2月、市長就任のあいさつで「武田薬品工業新研究所開設に備えて円滑な支援を進める」と明言している。新研究所はいわば公約だ。逃げる理由はない。
 ご多忙な市長のスケジュールにも一言。読者ならご存じの通り、本誌では毎号、与野党幹部や政務三役、学会トップ、有名病院経営者などに登場いただいている。こうした方々のお仕事が市長職と比べてどうかは存じ上げない。だが、「時間がない」などという陳腐な理由で取材を断られた例はいまだ皆無。国政以上の激務に忙殺される海老根の健康状態が気に掛かる。藤沢市民の声を無視し続けることはできない。
(敬称略)


藤沢市が誇る「ミスター多忙(当社比)」

武田薬品の品行3.jpg

2010年9月 3日 15:46 | 医薬品メーカー・武田薬品工業・経済

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