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鹿児島の老人施設の6人死亡は  「大死亡時代」の先取り?

鹿児島の老人施設の6人死亡は  「大死亡時代」の先取り?
鹿児島の老人施設の6人死亡は
 「大死亡時代」の先取り?

 1カ月間に6人の高齢者が死亡した、となれば〝殺人ホーム〟かと疑う声が出るのも当然か。鹿児島県鹿屋市の住宅型有料老人ホーム「風の舞」で2018年10月から11月半ばにかけて入居者の高齢女性6人が相次いで死亡していたことが判明。市は高齢者虐待防止法に基づき立ち入り検査を行い、県も問題がなかったかを調べているという。

 風の舞には当時40人ほどの入居者がいたが、夜間に介護していたのは施設長1人。8〜9月に介護職員8人全員が退職していたからだ。会見した院長と施設長は、夜勤の手当てを1万円から7000円に引き下げることを提示したことや人間関係が原因だったと退職の原因を説明。職員が退職した後も医師や看護師が24時間対応できる状態だったとして、「文句を言われる筋合いはない」(院長)と施設側に落ち度はないと強調した。

 本当に落ち度はなかったのか。住宅型有料老人ホームは外部の訪問看護や介護サービスを利用することが前提で、介護職員の配置基準はない。会見に出席した全国紙記者によると、死亡した6人はいずれも終末期の患者で、院長らは「介護は十分ではなかったかもしれないが、医療面は十分だった」と何度も語ったという。

 「会見で院長は、市の特別養護老人ホームには寝たきりやがん末期の患者は入所できない、だから自分達が受け皿になっていたと発言した。食事がとれないお年寄りも多かったようで、介護職員がいなかったことと死亡の因果関係は明らかではない」と担当記者。多死社会の訪れで〝白黒つかない高齢者の大量死〟は増えていくのか。

世界中から大批判
 「ゲノム編集ベビー」の現実味

 中国の研究者が、遺伝子を改変する「ゲノム編集」技術を使って受精卵を操作し、双子を誕生させたとする驚きの発表を行った。日本医師会と日本医学会が共同で「人の尊厳を無視し、生命を軽視するもの」と厳しく批判した他、世界中の研究者からも批判が上がる一方で、果たして本当なのかと内容をいぶかしむ声も上がる。

 報道によると、ゲノム編集ベビーを誕生させたのは中国・南方科技大の賀建奎副教授。HIV(エイズウイルス)感染に関わる遺伝子を働かないよう受精卵を改変し、「ルル」と「ナナ」という双子の女児を誕生させたという。子供の父親がHIVに感染しており、賀氏は「感染拡大を防ぐために行った」と主張。しかし、HIVの感染を防ぐ技術は確立されており、医学的な必然性は低いことは明らかだ。遺伝子改変の影響は子孫にまで及ぶ可能性があり、研究計画の倫理審査がどう行われたのかなど不明な点も多い。中国当局は「法律違反であり、受け入れることはできない」と賀氏の活動を停止させることを明らかにした。

 ある科学部記者は「賀氏は18歳になるまで子供をフォローするとしているが、プライバシーの問題から子供を表に出すのは難しい。そうなると誰も真偽を検証できない」と語る。全国紙の元記者は「2000年代初めに世界を賑わせたクローンベビーの騒ぎに似ている」と指摘。「何人かの研究者がクローンベビーを誕生させたと主張したが、クローン技術は難しいため誰も本気にしなかった。しかし、ゲノム編集は比較的容易に行えるため現実味がある。今後も同様の情報が出るかもしれないが、真偽を見極めるのは難しい」と言う。

 事実、賀氏が登壇したヒトゲノム編集国際会議の参加者は「フロアからは批判的な意見が相次いだ」と語ったが、「真偽は分からない」と完全否定はしないのである。

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