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【ドイツ】リハビリとリンパ浮腫治療の専門病院

【ドイツ】リハビリとリンパ浮腫治療の専門病院

 前回はバーデン=バーデン(バーデン=ヴュルテンベルク州)の「温泉保養都市」としての特徴を紹介したが、今回はリハビリテーションとリンパ浮腫治療の二つの専門病院を見てみよう。

リハビリテーションの専門病院

 バーデン=バーデンの小高い丘にある「ホーヘンブリック病院」(写真①)は、1908年に胃腸科の病院として作られた。当時はサナトリウム(結核療養所)的な考えを取り入れていた。第2次世界大戦後の連合軍占領下で、建物はフランス軍の司令部として使われたりしたこともあった。

 この病院は現在、九つの病院を持ち、計1250床を有するドイツの年金保険組織に買収され、グループ病院の一つとなっている。グループの本部はシュトゥットガルト(バーデン=ヴュルテンベルク州の州都)にある。

 この病院は病床数が117床、外来患者は1日約20人。平均在院日数は約3週間で、患者は自立して退院していくことになる。厳密には、医療保険が終わった後、同病院に入院するのが流れになっている。

 つまり、ドイツでは年金保険と医療保険にリハビリをカバーする機能がある。例えば、整形外科の場合、21日間が年金保険でカバーされ、最大12週間の延長も状況によっては可能である。日数の約4分の1が医療保険、約4分の3が年金保険でカバーするという考え方になっている。

 年金保険は若い人を対象に、社会復帰を前提にした保険という考え方である。一方、医療保険は年金をもらっている人が対象になり、むしろ介護に行かないようにリハビリを行うという考え方である。

 この病院の場合、病床の占有率は80%であり、95%がこういった公的保険の患者だが、年金保険の患者が大半になる。5%ほどは民間保険や自費の人もいる。

 余談であるが、ドイツでもそもそも年金をどの段階で支給し(現在67歳から)、その割合をどの程度にするかということが、非常に重要な政局の論点になっているという。

 年金保険のもう一つの役割が予防医学的なものになる。これは三つの側面がある。一つはメンタルケア、二つ目は運動の奨励、三つ目は栄養指導である。 

 例えば、ドイツでは1年間メンタルにおける疾患で働けないと年金が出るので、それを防ぐのが一つ目のメンタル対策になる。

 ちなみに、この病院はパートナーを連れてきても良いことになっており、泊まり込みで、パートナーと一緒に生活している場合もある。驚いたことに、年金保険でこのパートナーの食費や宿泊費もカバーされるという。

 ドイツの場合、介護保険も現金給付の部分があり、家族が要介護者を介護すれば、介護保険から費用を幾分支払ってもらうことが出来る。このように家族の関与を重視するのがドイツの考え方である。

 なお、この病院では温泉療法はやっていない。もちろん、バーデン=バーデンにある他のリハビリ病院で温泉療法を行っているところはあるが、この病院においては塩素が温泉に含まれていることを嫌い、行っていないという。

 また、ミネラル豊富な火山灰を利用した「ファンゴ療法」や、ドイツ人神父・自然療法士のセバスチャン・クナイプが行なった自然療法である「クナイプ療法」も行ったりしている。さらに、漢方や指圧といった治療法も取り入れようとしている。運動療法は、フィットネスマシンもあったりするが、PT(理学療法士)がケアしている。

 ちなみに、この病院の食事は、患者に若い人が多いためか、朝と夜はビュッフェ(立食形式の食事)になっている。

リンパ浮腫治療の専門病院

 最後に、場所はバーデン=バーデンではないが、同じバーデン=ヴュルテンベルク州にあり、差別化という意味で参考になる病院を紹介したい。日本でも中小病院が生き残りをかけて他の病院と差別化しようとしているが、「フェルディクリニック」(写真②)はまさにその差別化を非常に強力に進めている医療機関である。 

 クリニックと称しているが、実際は病院である。世界有数のリンパ浮腫治療の専門病院で、病床数は152床、五つの病棟を持っている。1775年に創立されて、1986年に現在のドイツ南部ヒンターツァルテンに移った。この地は避暑地として有名で、冬には多くのスキーヤーが訪れる。ノルディックスキーのワールドカップ開催地としても知られている。

 この病院は2006年に病棟をリフォームしており、外来患者は年間約4000人、入院患者は同約2300人。従業員は約200人、医師は14人、PTは40人である。創設者は現在の院長の両親になるが、現在の院長は女性で、その夫が事務方として経営を担っている。

 ドイツ人に関しては公的保険が適用されるが、海外からも患者が来る。例えば、アジア、欧米ではスペインやイタリア、アメリカなどからの重度のリンパ浮腫患者である。海外の患者の場合はeメールで紹介されてくる。

 また、レベルが高い理学療法士を養成するため、フライブルク(バーデン=ヴュルテンベルク州の郡独立市)にある「フェルディ学校」において、「フェルディーユニバーシティ」という名前でリンパ浮腫対応の認定コースも作っている。

 なお、この病院はCTやMRI、レントゲンもなく、エコーしか持っていない、完全にリンパ浮腫のみの対応病院である。

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