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「日本創薬力強化プラン」に製薬関係者は早くも落胆

「日本創薬力強化プラン」に製薬関係者は早くも落胆
内容は新味に乏しく、予定されていた事業を詰め込んだだけ

政府は、革新的な創薬を創出する環境整備を進める「日本創薬力強化プラン」を公表した。新薬開発を巡っては薬価制度改革で「新薬創出等加算」の要件が絞り込まれており、プランの作成は反発していた製薬業界に配慮した結果といえる。ただ、内容的に新味に乏しく、「予定されていた事業を取りまとめただけ」(製薬業界関係者)と落胆する声が早くも漏れている。

 プランの柱は、日本発のシーズ(種)が生まれる研究開発環境の改善▽薬事規制改革を通じたコスト低減と効率性向上▽バイオシミラー(バイオ後続品)を含む医薬品の生産性向上▽日本発医薬品の国際展開の推進▽グローバルベンチャーの創出——など。プランの方針に沿って、医薬品産業強化総合戦略を改定した。2017年度補正予算と18年度当初予算で、厚労省は530億円、内閣府は300億円を計上した。

 研究開発をより進めるため、特にがん治療分野で遺伝子情報を基に治療法を選ぶ「ゲノム医療」の推進を掲げる。がんゲノム治療は欧米に比べて実用化の取り組みが遅れており、ゲノム治療を行う医療機関を「がんゲノム医療中核拠点病院」に指定し、治療薬開発を促進するため中核拠点病院が解析したゲノム情報を集約して管理する「がんゲノム情報管理センター(仮称)」を整備する。

 革新的な医薬品を早期に承認し、世界に先駆けて実用化させる方針も盛り込んだ。審査プロセスが予測しやすい開発支援型の「条件付き早期承認制度」や「先駆け審査指定制度」を制度化する。

 研究開発の時間短縮とコストを低減し、研究開発の生産性向上を見込む。患者のリスクを低くするため、施設や患者などを絞り込んで適正使用を進める「最適使用推進ガイドライン」の整備も進める。バイオシミラーの使用促進については、科学的評価や品質に対し医療従事者や患者に普及啓発を行う。

 新薬創出を支える医療系ベンチャーの育成も進める。特に資金調達がネックとなっていることから、金融市場の整備や製薬企業とのマッチング、知財・薬事分野の専門人材育成などを明記した。

 プランを作成する背景には、薬価制度改革で「恩恵」が受けられなくなった製薬業界への配慮がある。ほぼ全ての新薬が高値で維持してきた新薬創出等加算を見直し、適用の対象を上位25%に絞ったからだ。

 1月9日に東京都内で開かれた薬業四団体新年賀詞交歓会で、東京医薬品工業協会の内藤晴夫会長は「医薬品業界はこれまでになく厳しい市場環境のもとで新年を迎えることになった」と危機感を露わにし、プランについて「実現に尽力した関係者に感謝申し上げる」と述べるにとどめた。

 厚労省側として出席した高木美智代・厚生労働副大臣は「AI(人工知能)の開発やがんゲノム医療の進展、治療や開発アプローチの変化を捉え、低コストで効率的な創薬を実現出来る環境整備を進め、海外市場にも展開出来る創薬大国の実現を目指し、プランを取りまとめた」とアピールした。

 しかし、製薬業界関係者からは「業界的に表面上は役所を持ち上げないといけないが、初めからやると決まっていたものを無理やり詰め込んだだけだ」との囁きが漏れた。

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