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癒やしと安らぎの環境賞2017

【ドイツ】「健康増進都市」フライブルク

【ドイツ】「健康増進都市」フライブルク

 今回も、前回に引き続いてフライブルク市の話である。

 最近では、フライブルクは健康増進都市として新たな産業や雇用創出をしようとしていることでも知られる。健康セクターのボリュームが大きく、約25%の市民は健康関連施設、病院、医学研究施設、医療機器会社などで最先端の医療に従事している。

 また、環境問題を重視した結果、市民の健康意識が非常に高くなったようである。

売りは「スローライフの体験」

 産業としては、医療ツーリズムやウェルネスツーリズム(健康づくりのためのツーリズム)が盛んで、市当局はこの分野をこれからも伸ばしていきたいと考えている。

 特にウェルネスツーリズムでは「スローライフの体験」を売りにしている。ドイツの日照時間は平均1550時間だが、フライブルクは1740時間とドイツの主要都市の中でも最も長い点、近隣の森・山地「シュヴァルツヴァルト」(写真①)がハイキングやサイクリング、温泉保養などに格好な場所である点、白ワインやビールなどの食文化がドイツ国内でも高い評価を得ている点などを生かしてのことである。

 また、フライブルク大学医学部付属病院は心臓手術のレベルが高いので、治療を受けるためフライブルクを訪れる人達も多いという。

 フライブルクは2012年、健康増進都市づくりの一環として、企業などと共同で産業クラスター政策を策定した。これは企業や教育・研究機関、行政が近接して結び付いてクラスター(一塊の集合体)として発展することを目指す地域産業政策で、当時28の会員企業が賛同、ホテル、温泉施設、ヘルスケアツーリズム会社、医療保険会社、大学、クリニックなどが参加したという。

 フライブルクは現在、ウェルネスツーリズムに関しては予防医療を掲げており、参加者に最良の予防医療プログラムを作られるように、コーディネーターがアレンジし予約出来るようにしている(写真②)。

 ロシアからの直行便が近隣の空港にあるので、ロシアからウェルネスツーリズムや医療ツーリズムに参加する人達も多い。また、アラブ首長国連邦・ドバイのような中近東の国とも提携関係を結んだり、民間保険の加入者が多いスイスやフランスの顧客もターゲットにしたりしているという。

 ウェブサイトでは、ドイツ語、英語、ロシア語、中国語でフライブルクの取り組みを紹介しているが、ドイツも日本と同様に医療関係の広告規制が厳しく行われており、日本にとって参考になろう。

 フライブルクでは企業人のアンチストレス対策や健康診断も多くの企業に提供している。健康診断については日本のように法律で規定されておらず、公務員のみに定期健康診断の受診が義務化されていたが、概念が優れているということで企業にも徐々に広がりを見せている。

 ウェルネスツーリズムでは、自転車などを使ったハイキング、2週間の予防医療プログラム、フィットネス、リハビリ、マッサージ、スパなどに対応したプログラムを提供している。ドイツ国民はあまり熱心ではないと言われるが、海外では大きな市場ニーズがあるので、取り組んでいることに美容整形がある。

ドイツ人も対象に健康診断をPR

 医療ツーリズムのターゲットは、海外の患者もあるが、特に健康診断を中心にして、ドイツ人もターゲットにしようという試みがある。ドイツでは高収入の国民は民間保険を公的保険の代わりにしているケースが多く、民間保険の範囲の中で健康診断への支払いを行っている。大学病院も積極的に医療ツーリズムに参加している。

 ライバルは医療ツーリズムでは観光に強みがある近隣のハイデルベルク、ウェルネスツーリズムでは温泉保養地のバーデン=バーデン(いずれもフライブルクと同じバーデン=ヴュルテンベルク州)と言われている。しかし、両市の人口や面積はフライブルクより規模が小さく、フライブルク市の観光局は差が付いているという。

 フライブルクは①旧市街の美しさと文化②アクティブに絡める自然③健康増進への取り組み④MICE、すなわち会議の開催などに適したビジネス環境⑤スイスやフランスなどの近接地──の五つのアピールポイント(写真③)を挙げ、観光地としても売り出そうとしている。

フライブルクのまとめ

 以上、2回にわたって述べてきたように、環境に対する配慮は、予防医学や公衆衛生の立場でいえば、医療に対する配慮と類似する。その意味で、環境都市を目指しているフライブルクが同時に健康増進都市を目指す流れは、理にかなっている。日本でも松本市(長野県)などに同じような動きが見られるようで、今後に期待したい。

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