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「広島にミサイル」に波紋 不適切発言の官僚の正体

「広島にミサイル」に波紋 不適切発言の官僚の正体
広島にミサイル」に波紋
不適切発言の官僚の正体

 北朝鮮情勢が緊迫化する中、広島県で9月に行われた講演会で、県幹部職員の不適切な発言が物議を醸している。

 発言があったのは9月12日。広島県の健康福祉局医療・がん対策部長を務める田中剛氏が講演中に、「北朝鮮が広島県にミサイルを落とさない限り、人口構造は変わらない」と述べた。関係者によると、講演は一般市民ではなく医療関係者向けのもので、保健医療財政をテーマに語る中で、少子高齢化の現状の説明としてこの発言が飛び出したという。

 実は、田中氏の〝正体〟は厚生労働省の医系技官。大阪大学医学部を卒業後、2001年に厚労省に入省し、健康局や医政局、保険局、内閣官房などで医療行政に携わってきた。

 留学経験もあり、自治体での勤務は広島県が初めてではない。田中氏を知る厚労省担当記者によると、「医系技官には個性的な人が多いが、田中氏もその一人。気さくで明るく、親しみやすい人柄だ」と評判は悪くない。

 田中氏自身は、「人口構造を変えるものは戦争や大災害であり、その例えとして挙げた」などと釈明したと伝えられ、記者も「発言はそんなに問題ではないのではないか」とかばうが、いかんせん場所が悪かった。広島県側からは「被爆者の思いを考えてほしかった」との意見が上がったといい、厚労省関係者も「ミサイルの脅威は日本全国共通だが、被爆地・広島でミサイルを落とす、という発言をするのは不謹慎だ」と頭を抱える。

 厚労省関係者によると、この発言を受けて、厚労省には報道機関からの問い合わせが相次いだという。出向中の職員が飛ばしたミサイルは、正確に厚労省に着弾したというわけか。

職務怠慢で処分?
前代未聞のPMDA職員

 医薬品の審査などを行う医薬品医療機器総合機構(PMDA)が10月12日に発表した職員の処分が疑惑を呼んでいる。厚労省担当記者によると、処分を受けたのはPMDAの40代の男性管理職。処分内容は停職1カ月と、給与の一部返納だ。一体何があったのか。「報道関係に出されたリリースのタイトルは『頻回の無断欠勤により管理監督責任を怠った職員の処分』とあり、職務と関係のない外出を頻回にわたって繰り返したことが処分理由とあった」と記者。「横領や情報漏洩、職務上のミス、刑事事件での処分は聞いたことがあるが、職務怠慢での処分は日本年金機構で作業を放置していたとしてたまにあるくらい。職場にいないという理由は聞いたことがない」と首を傾げる。

 厚労省関係者によると、男性は昨年4月から今年8月までの間にのべ100日にわたって職務と関係のない外出をしていたといい、「欠勤していた」とされた時間は約500時間。PMDAの調べに、「厚労省や関係先に行っていた」と釈明したといい、実際に厚労省に出掛けていた日もあったが、「多くはどこに行っていたのかが裏付けが取れなかった」(厚労省関係者)という。

 事案は内部通報で発覚したというが、担当記者はいぶかしむ。「内部通報されるほどだから、仕事に関係のない場所に行っていたことを掴んだ誰かが咎めたのだろう。職場にいないというだけで、わざわざ通報するとも思えない」

 ミサイル発言で物議を醸した広島県職員は厚労省からの出向だったが、こちらの職員は厚労省出身ではなく、PMDAに勤務して数年がたっていたという。PMDAには、医薬品の審査に目を光らせる前に、自分達の審査をしっかりしてもらいたいものである。

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