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糖尿病の予防に「血糖値の見える化」検診

センサー糖値を測定・グラ、気付きもたら

え続ける医療費を抑制するため、糖尿病などの生活習慣病の発症や重症化の予防が重視されている。中でも糖尿病は重症化が進むと、合併症として網膜症、腎症、神経障害が発症、医療費を膨らます。また、足の壊死が起きれば、切断が必要となることもある。足を切断すると寝たきりになる患者が多く、透析患者では5年で8割以上が死亡、透析を受けていなくても5年で6割が死亡するという報告もある。

 しかし、糖尿病は発病していても自覚症状が出にくい病気だ。そこで、血糖値の波を知ることで、予防や早期発見に役立てようと、「足と糖尿病の専門病院」を謳う下北沢病院(東京都世田谷区)が「血糖値の見える化」検診を始めた。

 血糖値測定の現状は、過去1〜2カ月の平均血糖値を反映したHbA1c、ある一時点の血糖値を把握出来るSMBG(血糖自己測定)や随時血糖値があるが、それでは食後の急激な血糖上昇(血糖スパイク)を見つけられない。

 空腹時だけ高い人より、食後2時間値が高い人の方が、将来の血管疾患による死亡リスクが上がるという。普段の日常生活で「自分の血糖値がどう上がっていくかを見える化」することは、気付きに繋がり、生活習慣の改善のきっかけになる。初期症状から治療を始めれば、足の病気になることも避けられる。

 同病院は血糖の波を正確に把握するため、昨年12月に新型血糖測定器「Free StyleリブレProシステム」(アボット ジャパン)を導入した。まず検診者は500円玉程の楕円形センサーを腕に貼り付ける。痛みは無く、入浴や運動にも支障は無い。これは、血糖値と相関する皮下の組織間質液の糖濃度を24時間、2週間測定出来る。本体をセンサーに近づければ、非接触で血糖値の折れ線グラフを表示する。

 何を食べれば血糖値が変化するかを知るため、検診者は食事をスマホなどで写真に記録。後日、血糖値グラフと照合しながら、管理栄養士が栄養アドバイスを行う。

 また、理学療法士が歩行解析を行い、歩き方を指導する。糖尿病が進んでいれば、自分の足で無理なく歩く方法を学ぶ。未病の段階では、ストレッチの方法や重心の偏りなど、歩き方の癖が分かるので、運動するきっかけにもなる。

 将来の糖尿病リスクは統計上、40歳代で血糖値が100mg/dlを超えていると、10年後にその半分の人は糖尿病になるという。しかし、病院で受診しない人が大半で、タイミング的にも気付きにくい。

 同病院糖尿病センターの富田益臣センター長は「糖尿病になると将来切断になります、と脅すだけでは実感をなかなか持ってもらえない。今こういう段階だから、リスクは何%と明確に伝えることによって、患者さんは本当の意味で自分の身体を知ることが出来る。年齢に限らず、糖尿病になる前の予防という観点で、若いうちから検診をすることが重症化予防に一番大切」と話す。

 費用は3万5000円(税別)。個人が負担するには高額なので、同病院では企業の健康診断の一環として社員に受けてもらえればと考えている。特に血糖値が上がりやすい45歳以上の人に推奨しているが、年齢の規定はない。

 体験者の反響は良く、「自分の血糖値の上がりやすさをデータで見られて良かった」「食事内容を見直す機会になった」などの声が上がっている。自分が正しいと思っている食生活が本当に正しいのかどうか、専門医や管理栄養士と話しながら考える良い機会になるという。

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