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第111回 〝キメラ化〟する「介護医療院」の行方

 今国会で成立した改正介護保険法には、厚生労働省が削減を図る療養病床の受け皿、「介護医療院」の新設が含まれている。

 ただ、医療と介護の関係者の意見が対立し、新施設の性格は双方の意向を折衷した形となった。治療重視か、それとも生活の場としての機能に重きを置くのか。介護医療院は、そこが曖昧となる危うさをはらむ。

 介護医療院には医療処置が必要な人向け、比較的容体の安定した人向けに加え、有料老人ホームなどに併設される「併設型」の3タイプがある。介護療養病床(約6万3000床)や、医療療養病床(約27万8000床)からの転換を促す。今年度末で廃止予定だった介護療養病床は、転換への準備期間として廃止を6年延長する。

 療養病床削減に躍起の厚労省は、2008年の新型老人保健施設の創設など受け皿整備を手掛けてきた。それでも療養病床は一向に減らない。一因とされるのが、「病院」から「施設」になることを嫌う病院関係者のプライドだ。

 そこで新たな受け皿には「介護」の名を冠する一方で、トップを「院長」と呼べるよう「医療院」とした。療養病床からの転換組には、従来の病院名や診療所名を名乗ることも認めた。病院では無いものの、医療法上の医療提供施設となっている。

 片や介護関係者の側には、「我々も仕事に誇りを持っているのは同じ」との不満が根強くある。医療費削減の思惑もあり、介護医療院は療養病床より医師や看護師の配置が少ない。介護関係者には「生活の場であるべきで、個室にすべきだ」との思いもある。

 こうした指摘を受け、介護医療院の1人当たり面積は「8平方㍍以上」が適切とされたが、「治療の場」と位置付けたい医療関係者の間には、今の療養病床と同じ「6・4平方㍍以上」を求める声も強い。

 「看取りは特別養護老人ホーム(特養)より、介護医療院で進めるべきだ」。4月26日の社会保障審議会の介護給付費分科会で、武久洋三・日本慢性期医療協会会長はそう指摘し、介護医療院の報酬設定次第では特養よりも利用者が増える、との見通しを示した。

 ただ、個別の看取り計画を立て、実行している介護療養病床は全体の28・2%なのに対し、特養は倍の56・4%。介護医療院の設置基準や報酬は来年度の診療報酬・介護報酬同時改定で決まる。厚労省関係者は治療と生活、両にらみの介護医療院という名称について「名は体を表す、ですか」と苦笑しつつ、「報酬改定で中途半端な点数配分になると、病院なのか介護施設なのか分からない存在になる」と懸念している。

 介護医療院を巡っては、医療療養病床からの転換にも課題が残る。移行期間を設け、その間入院基本料を高めにしている今の特例を続ける条件について、支払い側と診療側が対立しているからだ。支払い側は「まず介護医療院に移る意志決定をすることが条件」と主張しているのに対し、診療側は「意志決定に必要な期間も設けるべきだ」と反論している。

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