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第88回 プソイドエフェドリン-虚血腸炎

はじめに

 鼻づまり用の薬剤の成分フェニルプロパノールアミン(PPA)の害に関して、2001年1月、薬のチェックは命のチェック創刊号で「鼻水止めの薬は使ってはいけない」と取り上げた1)。PPAの代替剤として登場したプソイドエフェドリンについても、同様に危険であることを2003年8月13日に「鼻水、鼻づまり止めは使わないで!! PPAだけが危険なのではない」と再び取り上げた2)。さらに薬のチェックTIP誌66号の「医薬品危険性情報」でも取り上げ、編集部がコメントした。

 同誌71号(2017年5月号)で紹介したフランスの医薬品情報誌、プレスクリル誌の「プソイドエフェドリンで虚血性大腸炎−鼻づまりの薬剤は使用してはならない」を元に加筆して紹介する。

カナダ保健省の報告と警告

 2016年初旬、カナダ保健省(Health Canada)は、鼻づまりの薬剤として用いられる交感神経刺激性血管収縮剤プソイドエフェドリンが、虚血性大腸炎のリスクに関連していると警告を発した。2014年に発表された症例報告をきっかけに行われた同省の分析によると、世界保健機関(WHO)の医薬監視データベース中の24件の報告及び公表された症例9件が確認された。

 2014年の報告には、これまで健康だった49歳女性が腹痛及び血性下痢を発症してから12時間後に入院した症例が含まれている。この女性には、(虚血性大腸炎の)危険因子は一切無かった。危険因子とは、例えば、最近の旅行歴、抗生剤の使用、発熱、珍しい物を食べた、過去に同様の症状があった、家族に同様の病歴がある、結腸疾患、激しい運動、喫煙、過剰なアルコール摂取、非合法薬剤の使用などである。

 症状は48時間継続した。結腸鏡検査によって、線維素膿性滲出液を伴う、紅斑性及び浮腫性の異常な粘膜をS状結腸及び下行結腸に認め、虚血性大腸炎が示唆された。唯一確認された原因となり得ることは、アレルギー性鼻炎治療の経口プソイドエフェドリン120mg1日2回の服用であった。発症の12時間前まで同剤の服用が続いていた。数日以内に改善した。

 交感神経刺激性血管収縮剤は、高血圧クリーゼや発作、不整脈をはじめとする、神経系および心疾患系の害反応を引き起こす可能性がある。数例の局所性の虚血性大腸炎が報告されている。

 交感神経刺激性血管収縮剤が、感冒の症状改善、アレルギー性鼻炎の治療用、鎮咳剤として、単独または他剤との併用で、経口または経鼻での使用が承認されている。プソイドエフェドリンを始め、エフェドリン、メチルエフェドリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン(m-シネフリン)が、処方箋無しで入手可能であり安易に使用されている。日本では、漢方剤として麻黄(エフェドラ)も加わり、鼻づまりと咳止めが、しばしば重複する。

実地診療では

 一時的で合併症のない感冒の一つの症状を緩和するためだけに、重篤または致死的な結果を招く可能性のある虚血性イベントを誘発する薬剤を使用することは正当化出来ない。これらの薬剤は絶対


参考文献
1)  薬のチェックは命のチェック創刊号,78-81,2001.
2) 『薬のチェックは命のチェック』速報版No32
  (http://www.npojip.org/sokuho/030812.html)
3) 薬のチェックTIP、May 2017:17(3):65
4) Prescrire International Nov. 2017 26(1):20.

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