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認知症患者が急増していく時代の「新しい社会」をデザインする

認知症患者が急増していく時代の「新しい社会」をデザインする

髙瀬義昌(たかせ・よしまさ)1956年兵庫県生まれ。84年信州大学医学部卒業。2004年たかせクリニック開設。12年東京医科大学社会人大学院修了、医学博士。蒲田医師会理事。日米医学医療交流財団専務理事。ITヘルスケア学会副代表。厚労省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務める。『はじめての認知症介護』『認知症の治療とケア』など著書多数。


超高齢多死社会を迎える日本では、認知症が今後ますます重大な問題になっていく。今求められているのは、その社会的な備えである。また、認知症の人が急増するということは、そこに大きなマーケットが生まれることでもある。在宅医療における認知症のスペシャリストである髙瀬義昌氏は、民間企業がこの状況をポジティブに捉えることで、新たな状況が期待出来るという。

——認知症が大きな問題になっています、日本の今の状況は?

髙瀬 2025年から40年にかけて、日本の高齢者人口は、65歳以上が4000万人弱、75歳以上が2000万人強にまで増えます。そして、人口がどんどん減っていくので、高齢化率は上昇し続けると予想されています。人口の減り方も急激です。日本の人口は平安時代の終わりから江戸時代が始まる頃まで、約1000万人でした。元禄時代に増え、100年かけて3000万人になります。明治維新以降は増え続け、現在1億3000万人を少し下回るところまで増えました。そこから急激な人口減少が始まり、国の推計では2100年には5000万人を切るそうです。100年かからずに8000万人近く減るのですから、大変なことです。これまでに経験したことのない超高齢多死社会を迎えることになります。現在の日本はそれを目前にしているわけです。認知症の一番のリスクは高齢であることですから、その社会で認知症が大きな問題になることは間違いないでしょう。

——そういった社会に必要になるのは?

髙瀬 認知症に対するきちんとした社会的な備えを持つことです。例えば、認知症に対する知識を広げていくことも、その一つです。認知症に対する知識が深まり、早く発見出来るようになれば、それだけ重症化するのを回避出来ます。プロの医療関係者が認知症を知っていることも大切ですが、例えば小学生がどれだけ理解しているかによっても、認知症を抱える社会の状況は変わってきます。さらに、これからは認知症患者と認知症予備群と呼ばれるハイリスクグループが、65歳以上の約半数を占めるようになります。ここに大きなマーケットが存在すると考えてほしいのです。民間企業がそれをビジネスチャンスと考えれば、認知症を受け入れるための社会的な備えが進むでしょう。逆に言えば、そういう見方をしていかないと、これからの社会では企業が生き残っていくのは難しくなる可能性があります。

——認知症は医療費にも大きな影響がありますね。

髙瀬 社会的な視野を持って、医療コストを下げるにはどうしたらいいか考える必要があります。何年も認知症の患者さんを診ていて実感するのですが、入院するようなイベントがあると、認知症は一気に悪くなります。そのイベントというのは、がんを除けば、脳卒中、肺炎、骨折、帯状疱疹の四つが主なものです。これを予防すれば認知症の急な悪化を防げるし、医療費を減らすことにも繋がります。認知症の人が転倒したりして大腿骨頸部骨折を起こすと、1年間に400万円の医療費がかかることが分かっています。こういった骨折はある程度予防可能ですから、これを1件でも減らすことが、医療費の無駄を減らすことに繋がります。入院の原因となり、同時に認知症悪化の原因となる四つの疾患に対して、それぞれ対策を立てることが必要です。

人生の終わりをデザインする

——たかせクリニックは訪問診療をメインにしていますが、そうしたクリニックを始めた理由は?

髙瀬 現在のクリニックを始めたのは04年で、すでに13年になります。介護保険が出来たのが2000年ですが、厚生労働省で介護保険を作るのに尽力した香取照幸氏(前雇用均等・児童家庭局長、現アゼルバイジャン大使)が、実は中学・高校時代のバンド仲間なのです。介護保険が出来る頃に彼らの近くにいていろいろ話を聞いていると、これから世の中が大きく変わるのだと確信を持てました。肌で感じたと言った方がいいかもしれません。その時に作りたいと思った新しい時代のクリニックが、このクリニックなのです。現在、常勤の医師は私1人で、非常勤を含めると10人の医師がいます。在宅医療を勉強したいという若い人が、いつもたくさん来ています。

——在宅医療に特化しているのですね。

髙瀬 訪問診療を行う在宅療養支援を中心としていることは確かなのですが、最近は、外来診療を受けたいという希望が少し出てきました。訪問診療をしているうちに良くなってきて、これなら外来に通えるという人が出てきたのです。そんな在宅医療の卒業生が5〜6人います。

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